なんと、ドイツが誇る二大高級車の一角BMWからFFレイアウトの車がリリースされました。
それも、最新のクリーンディーゼルを搭載しての登場です。アクティブツアラーとグランツアラーという性格が異なるリバーシブルのような2種類です。
正確には同時期ではなく、5人乗りのアクティブツアラーが先に発売され、約半年後になんと7人乗りの日本市場でいうところの「ミニバン」がグランツアラーとして発売されたのです。
それでは、興味深いこのBMW製ファミリーカーともいえる2台を詳しく見ていきます。
5人乗り アクティブツアラー
基本スペック
まずは、中身の比較に入る前にメーカーから発表されているカタログスペックをおさらいしてみます。
両車のボディサイズは、アクティブツアラーの全長・全幅・全高が4,355×1,800×1,550mmで、対するグランツアラーは、4,565×1,800×1,645mmと、全長約20cm全高約10cm大きくなっています。
これは7人乗りにするためにサイズを拡大した結果なのですが、同じ2シリーズというプラットフォームを使用してここまで律儀にサイズを変更するメーカーを他に見たことがありません。
だいたいのメーカーは、大きめに作って余った分を内装のレイアウト変更でごまかしてしまうことがほとんどです。
流石はBMW!本当にどこまでもまじめな車作りだといえます。
搭載されるエンジンは両車合わせて3タイプ用意されており、218dに搭載される1995ccのディーゼルツインターボエンジンと218iと呼ばれる1498ccのガソリンツインターボエンジン、そして1998ccのガソリンツインターボエンジンには220iと225iの出力特性の異なる2種類のバリエーションがあります。
225iはxDriveと呼ばれる4WD機能付のM Sportのみの設定でアクティブツアラーで選択可能です。
これは、やはり7人乗りでより実用性の高いグランツアラーに比べてアクティブツアラーの方が走りを楽しむことを重視したモデルである証拠といえるでしょう。
日本だからこそメリットがあるディーゼルエンジンの燃費
ファミリーカーとしては、高級車BMWといっても燃費は非常に重要な要素です。燃費の最大のトピックとしてはやはり次世代クリーンディーゼルの採用です。
日本でディーゼルが乗用車のエンジンとして市民権を得たのは最近のことですが、ドイツでは古くから身近なエンジンとして愛されてきました。
そのため、この分野ではドイツに一日の長があります。
元来燃焼効率がよいディーゼルエンジンですが、低回転から圧倒的なトルクを発揮できるという特性もあるため、実はストップ・アンド・ゴーが多い日本の市街地走行との相性もばっちりなのです。
両車種ともに当然ディーゼルエンジンを搭載したグレードの燃費が最もよく、車体がコンパクトな分車重の軽いアクティブツアラーの方がグランツアラーに比べて若干低燃費となっています。
ディーゼルエンジンは燃費性能だけでなく、低速トルクの大きさから走る楽しさや運転時の疲労低減にも大きな効果を発揮します。
実用性を兼ね備えた両者
実用性という面では、ボディを拡大してその分を全て室内空間に割り当てているグランツアラーが圧倒的に有利です。
7人乗りとはいうものの実は3列目のシートはオプション扱いで、5人乗りとして拡大分を全てラケッジスペースに割り振ることも可能です。
3列目シートは使用しない時はラゲッジルームに折りたたんで収納可能で、収納時のラゲッジルームの積載量は、560L(3列目なし 645L)を確保。
また、電動で分割前倒し可能な2列目シートをすべて倒すと1820Lまで拡大可能です。
この値は、BMW 3シリーズのステーションワゴンの495L〜1500Lよりも大きな値です。
アクティブツアラーとはリアピラーのデザインを変えることで、乗り降り時の使い勝手を向上させている点も見逃せません。その他にも、1.5Lのペットボトルが入るポケットを全てのドアに採用したり、前後シート下に収納ボックス、ラゲージルーム下には100Lのマルチファンクショントレイを配置したりと、あちこちに収納があります。
日本風のミニバンと比較すると若干3列目シートの座面が狭いなどの不満もありますが、デザインや低重心化と走行性能まで考慮すると全くデメリットには映らないはずです。
まとめ
どちらを選んでもBMW初のFFレイアウトに最新のクリーンディーゼルという斬新なパッケージを手に入れることができます。
FFレイアウトながら、駆け抜ける歓びにはいささかの偽りもなく、走りにこだわりのある方にも自信をもっておすすめできます。
経済性や実用性、走行性能どれをとっても隙はなく、家族の誰もが満足できる素晴らしくバランスの取れたパッケージだといえます。
私がどちらかを購入するならグランツアラーです。コンパクトなボディにセダン並みの粛清性や快適なシートのアクティブツアラーも捨てがたいですが、どうせなら実用性という意味で最高に至れり尽くせりなグランツアラーというわけです。
これならBMWにもかかわらず、上司の自宅を何件も順に回ってピックアップしてゴルフにいくという日本独自の風習まで可能です。
記事を書いた人
M.Y氏
高級車のメンテナンスや販売を行う傍ら、
若手ドライバーのプロデュースも手掛ける。
外車の扱いが多いながらも、
若かりし頃に峠やサーキットを駆け抜けた
国産車への愛着が根強い。