新型ジムニーの燃費情報が公開されています。
こちらでは新型ジムニーの燃費に関するデータをご紹介します。
目次
メーカーが公表している新型ジムニーの燃費
引用:https://autoc-one.jp/suzuki/jimny/report-5002486/photo/
それではさっそく、メーカーが公表している新型ジムニーの燃費を確認しましょう。
5MT | 4AT | |
16.2km/L | 13.2km/L | |
市街地モード(WLTC-L) | 14.6km/L | 11.0km/L |
郊外モード(WLTC-M) | 17.5km/L | 13.9km/L |
高速道路モード(WLTC-H) | 16.5km/L | 14.2km/L |
新型ジムニーの燃費計測方法は、従来までのJC08モードに代わってWLTCモードとなりました。
今まで車の燃費計測方法には国際的に統一されたものがありませんでしたが、「メーカーが販売するそれぞれの国に合わせて燃費を計測する手間を省く」「ユーザーが車種ごとの燃費を比較しやすくする」ということを目的として世界統一規格のWLTCモードが作られました。国産車は2018年10月以降に販売されるモデルは全てWLTCモードでの燃費表記が義務付けられています。
JC08モードとの最大の特徴は、ご覧いただいてわかるように通常の燃費に加えて「市街地モード」「郊外モード」「高速道路モード」とそれぞれのステージでの利用を想定した燃費も併記されるようになったことです。
引用:http://www.mlit.go.jp/common/001191353.pdf
これによってユーザーはより自分の利用状況に近い燃費を知ることができる、というわけです。
さて新型ジムニーの燃費ですが、新型ジムニーはすべてのグレードで同じエンジンを搭載して同じ駆動方式(パートタイム4WD)を採っています。そしてすべてのグレードで5MTと4ATを用意しており、燃費はトランスミッションによって変わります。
4ATは5MTに比べて2割前後燃費が落ちるようです。
新型ジムニーの燃費は良くない!
引用:https://autoc-one.jp/suzuki/jimny/report-5002486/photo/0003.html
正直に申し上げて、新型ジムニーの燃費は良くないです。近年発売されている新型車が軒並み低燃費を売り物にしていることを考えると、悪いと言っても過言ではないレベルです。
参考までに他のスズキ車の燃費を以下に挙げてみましょう。
燃費(JC08モード) | |
ワゴンR(ハイブリッド仕様) | 30.4-33.4km/L |
ワゴンR(ガソリン仕様) | 23.4-26.8km/L |
スペーシア(ハイブリッド仕様) | 26.4-30.0km/L |
ハスラー(ハイブリッド仕様) | 25.6-32.0km/L |
ハスラー(ガソリン仕様) | 24.2-26.6km/L |
アルト(ガソリン仕様) | 24.0-37.0km/L |
アルト以外は基本的にハイブリッド仕様となっており、グレードによってガソリン仕様も設定されています。燃費に幅があるのは駆動方式やトランスミッション(5MT、4AT、CVTなど)による違いです。
引用:http://www.suzuki.co.jp/car/hustler/performance_eco/
新型ジムニーは言うまでもなくガソリン仕様ですが、上に挙げたどの車種のガソリン仕様の燃費と比べても悪い燃費となっています。
新型ジムニーはラダーフレームを採用しているため車重が重い
新型ジムニーの燃費が悪い最大の理由は「車重が重い」ということだと思います。
新型ジムニーの車重は1,030-1,040kgとなっており、これは一般的な軽自動車に比べて200-300kg程度重いです。この車体を同じ660ccのエンジンで引っ張るわけですから、燃費を比較すれば悪くなるのは当然の話となります。
新型ジムニーの車体が重い理由は「構造が頑丈なラダーフレームを採用しているから」でしょう。
引用:http://www.suzuki.co.jp/car/jimny/performance_eco/
多くのSUVも含めた一般的な乗用車の車体構造は、フレームとボディを一体化した「モノコック」が主流となっています。しかし新型ジムニーはラダーフレームの上にボディを載せるという別体式の構造を採用しています。
上の画像の通り、ラダーフレームは車体の前後に通したサイドレールとその間を結ぶクロスメンバーで構成されたはしご状の作りになっています。この構造は曲げやねじれといった外部からかかる力に対して強い強度や剛性を確保することが出来る上に耐久性に優れています。
引用:https://autoc-one.jp/suzuki/jimny/report-5002486/photo/0014.html
しかもモノコックは車体にかかる力をボディ全体で受け止めてしまいますが、フレームとボディが別体式だと衝突や転倒をしてボディが影響を受けても衝撃がフレームに伝わりにくいため、安全性も非常に高くなります。更に路面からの衝撃はフレームで受け止めるのでボディに伝わりにくく、乗り心地が悪くなりにくいという利点もあります。
引用:http://www.suzuki.co.jp/car/jimny/performance_eco/
このラダーフレームは悪路を走行する機会の多い本格的クロカン車に採用される構造であり、ジムニーは伝統的にこのラダーフレームを搭載しています。ジムニーの他にラダーフレームを採用し続けている車としてはトヨタランドクルーザーがあります。
引用:https://toyota.jp/landcruiser/gallery/
ジムニーが単なるSUVに留まらず、本格的クロカン車だと言われる所以はまさにここにあります。
本格的クロカン車にとってメリットだらけのラダーフレームですが、決定的なデメリットは「重い」ということです。
ジムニーがラダーフレームを搭載することによって得られる「高い悪路走破性」を取るか、ラダーフレームを捨ててモノコックを採用することで車重を軽くして得られる「低燃費」を取るか、となると、スズキは絶対に前者を取るはずです。つまり軽自動車であるジムニーが重いラダーフレームを採用し続ける以上、燃費は諦めざるを得ないと思います。
新型ジムニーはギア比が高い
もう1つ新型ジムニーの燃費が悪い理由として「ギア比の高さ」が考えられると思います。
引用:http://www.suzuki.co.jp/car/jimny/performance_eco/
ギア比とは簡単に言えば「出力側を1回転させるのに入力側が何回転するか」を表す数字です。例えばギア比が2だとすると、エンジンが2回転するとトランスミッションから出る軸が1回転する、ということになります。
ギア比が高いということは、トランスミッションから出る軸を1回転させるのにエンジンをたくさん回しているわけです。
そしてギア比が高ければ駆動力重視、低ければ加速力重視のセッティングになります。
参考までに新型ジムニー(5MT)とアルト(F・5MT/4WD)のギア比を比べてみましょう。
新型ジムニー | アルト | |
1速 | 5.8 | 4.3 |
2速 | 3.4 | 2.5 |
3速 | 2.1 | 1.6 |
4速 | 1.3 | 1.0 |
5速 | 1.0 | 0.8 |
1速から5速まで、すべてにおいて新型ジムニーの方がギア比が高いのがわかると思います。
これは新型ジムニーが悪路走破性を重視しているから、つまり駆動力を重視しているからに他なりません。
アルトに比べてトランスミッションから出る軸を1回転させるためにより多くエンジンを回転させているので、その分ガソリンも多く消費する=燃費が悪い、というわけです。
新型ジムニーは燃費を気にして乗る車ではない!
引用:https://autoc-one.jp/suzuki/jimny/report-5002486/photo/0057.html
以上、新型ジムニーの燃費について紹介しました。
新型ジムニーの燃費はお世辞にも良いとは言えませんが、それはすべてにおいて悪路走破性を重視した結果です。悪路走破性よりも経済性を重視するという人は新型ジムニーを選ぶと不幸な結果になってしまう可能性が高いので、別の車を選んだ方が無難だと思います。
経済性よりも何よりも、とにかく道なき道をグイグイと走っていける悪路走破性を重視する人こそ新型ジムニーを買うべきです。
これは新型ジムニーの購入を検討する上で、ある意味最も頭に入れておかなければならない事だと思います。