2019年の新型パジェロのスペックが公開されています。
こちらでは新型パジェロのスペックと主な特徴をまとめましたのでご覧ください。
新型パジェロの主要スペック
引用:https://carview.yahoo.co.jp/article/testdrive/20111220-20101121-carview/photo/11/#contents
それではさっそく新型パジェロの主要スペックを紹介しましょう。
車種 | パジェロ ディーゼル仕様 | パジェロ ガソリン仕様 |
総排気量 | 3,200c | 3,000cc |
トランスミッション | INVECS-Ⅱ 5速スポーツモードA/T | |
使用燃料 | 軽油 | レギュラー |
エンジン形式 | 4M41 3.2L 直列4気筒(ディーゼルターボ) | 6G72 3.0L V型6気筒 |
エンジン最高出力(ネット) | 140kW(190PS)/3,500rpm | 131kW(178PS)/5,250rpm |
エンジン最大トルク(ネット) | 441N.m(45.0kgf.m)/2,000rpm | 261N.m(26.6kgf.m)/4,000rpm |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,900mm×1,875mm×1,870mm | |
室内サイズ(室内長×室内幅×室内高) | 2,535mm×1,525mm×1,235mm | |
車両重量 | 2,240-2,290kg | 2,130-2,150kg |
乗車定員 | 7 | |
燃料消費率(JC08モード) | 10.0-10.4km/L | 8.0km/ L |
現行型の4代目パジェロが登場したのは2006年のことでしたが、発売当初はガソリン仕様のみの販売でした。
ディーゼル仕様が追加されたのはそれから約2年後の2008年10月のことです。
3代目パジェロのディーゼル仕様が販売を終了したのが2004年でしたから、実に4年ぶりの復活でした。
その後2010年9月に自動車排出ガス規制の強化(ポスト新長期規制)をクリアするために大幅に改良したクリーンディーゼルエンジンにリニューアルし、現在に至っています。
ディーゼル仕様が追加されて以降の販売の主流は常にディーゼル仕様で、国内販売される新型パジェロの約7割がディーゼル仕様と言われています。
ディーゼル仕様にはガソリン仕様にはないSUPER EXCEEDという最上位グレードを置いている点を見ても、メーカー的にもディーゼル仕様推しな姿勢が見え隠れします。
ディーゼル仕様の特徴は何と言っても「低速域からモリモリ出てくるトルク」と「燃費の良さ」の2つです。
引用:https://carview.yahoo.co.jp/article/testdrive/20111220-20101121-carview/photo/9/
スペック表の最大トルクを見比べてもらうとわかりますが、ガソリン仕様は261N.mを4,000回転で発生するのに対してディーゼル仕様は441N.mを2,000回転で発生します。
この261N.mや441N.mという数字は、自転車で言えばペダルを踏み込む力に例えられます。
ペダルをたくさん踏む方が自転車は加速していくことからもわかるように、N.mで表される数字が大きければ大きいほど加速力が優れている、ということになります。
ガソリン仕様の261N.mとディーゼル仕様の441N.mという数字を比べるとディーゼル仕様の数字の方が大きいです。
つまりディーゼル仕様の方が加速がよいわけです。
エンジン回転数は、その回転数で最大の加速力を発生するということを表しています。
ガソリン仕様は4,000回転で最大トルクを発生するので、1番おいしいところを味わうにはエンジンを回し気味にしないといけないということです。
引用:https://carview.yahoo.co.jp/article/testdrive/20111220-20101121-carview/photo/12/#contents
一方ディーゼル仕様は2,000回転で最大トルクを発生するので、アクセルを踏み始めてすぐに1番おいしいところを味わえます。
この最大トルクの大きさと、最大トルクの発生回転数の低さが「低速域からモリモリ出てくるトルク」という表現につながっています。
ディーゼルエンジンは程度の差こそあれ、基本的にはすべてこのような特性を持っています。
もう1つ燃費についてですが、ディーゼルエンジンはシリンダーの内の圧縮比を高めて高音で一気に燃料(軽油)を爆発燃焼させるという仕組みです。
そのため少ない燃料で高出力を得ることができます。
ガソリンエンジンは圧縮する空気にガソリンを混合するため圧縮比をディーゼルエンジンほど高くすることができません。
そのためディーゼルエンジンと同じ出力を得るにはより多くの燃料を必要とします。
引用:https://carview.yahoo.co.jp/article/testdrive/20111220-20101121-carview/photo/13/#contents
このような理由から、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べると2割から3割程度燃費が良くなるのが一般的です。
新型パジェロの燃費を比較しても、やはりディーゼル仕様の方が2割程度燃費が良くなっています。
しかしこの燃費は排気量を考えても現在の水準から考えれば「悪い」と言わざるを得ません。
新型パジェロに限って言うと、燃費の良さを期待してディーゼル仕様を選ぶのはナンセンスです。
天国と地獄の両方を見たパジェロ37年の歴史
引用:http://www.4x4magazine.co.jp/content/%E3%80%90%E8%A9%A6%E4%B9%97%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%80%91-pajero/
三菱を代表する車種の1つであるパジェロは、現行型が2006年に発売された4代目となります。
既にモデルライフは13年目に突入したわけですが、フルモデルチェンジは行われずに2019年8月末で国内向けの生産を終了、その後在庫を売り切ったら販売終了となります。
初代パジェロが登場したのは今を遡ること37年前、1982年のことです。
当時の三菱にはフォルテというピックアップトラックがありましたが、これをSUV化したものがパジェロでした。
引用:https://autoc-one.jp/news/5004246/photo/0018.html
日本の高度経済成長期が終わりつつあった1970年代前半、それまで「モーレツ社員」という言葉に象徴されるように日本人は馬車馬のように働きまくっていましたが、やや生活に余裕ができると休日にレジャーを楽しもうという人がどんどん増えていきました。
釣りやキャンプといったアウトドアレジャーの人気が少しずつ盛り上がりをみせ、それに適した車ということで当時三菱が主に自衛隊や警察、消防向けに生産していたジープが民間にも売れる、という状況になりました。
引用:http://www.kurumayayuji.com/stock/detail.php?r_corp=354&r_shop=354&r_car=89147&page_n=2
そこで三菱はジープとは別にコンシューマー(一般消費者)向けにジープ並みのオフロード性能を備えつつ、ジープよりも快適で運転がラクな今で言うSUVの開発に着手、1973年に東京モーターショーに出品したコンセプトカー「ジープパジェロ」を皮切りに、1979年の東京モーターショー出品した「パジェロⅡ」、1981年の東京モーターショーに市販予定車として出品した「パジェロ」を経て1982年に市販化に漕ぎつけました。
発売直後は主にオフロードファンを中心によく売れ、そこそこのヒットを記録しました。
やはりアウトドアブームが拡大する中で、ジープではやや快適性に難があると考えていた層に刺さった、ということでしょう。
しかしパジェロが本格的に大ヒットを記録するにはそこからまだ5年の月日が必要でした。
今日に繋がるパジェロの名声を獲得するに至ったターニングポイントは1987年の「エクシード」の投入です。
エクシードというのは現行型パジェロにもグレード名として残っていますが、要するに従来モデルにはなかった高級グレードのことでした。
引用:https://www.carsensor.net/catalog/mitsubishi/pajero/F001/
それまでのパジェロはジープに比べればより乗用車的にはなっていたものの、どちらかと言えばまだオフローダーらしい無骨さを色濃く出していました。
オフロードファンには大ウケしていましたが、そこから購買層が中々広がらないという問題を抱えていたようです。
そんな状況を打開すべく5ドアのミッドルーフモデルに追加されたのが高級グレードであるエクシードでした。
当時の日本はバブル経済絶頂期、スーパーホワイトのクラウンやマークⅡといったいわゆる「ハイソカー」が売れに売れていた時代です。
しかもこの1987年にはあの伝説の映画「私をスキーに連れてって」が公開された年です。
高級車とスキーが流行っていた時代の波に、パジェロは見事に乗りました。エクシードも含めてパジェロは大きく売れ行きを伸ばし、その地位を決定的なものにしていきます。
やがてバブル経済は崩壊しますが、ハイソカーブームの次にやってきたのがRV車ブームでした。
RVとはレクレーショナルビークルの略ですが、今でいうSUVと同じ意味です。
それまでは高級車に乗ってフランス料理を食べに行っていたのが、これからはRV車に乗って海や山へキャンプに行こう、という具合に世の中のトレンドが変化していきました。
この時代の流れもパジェロに見方し、1991年に2代目へフルモデルチェンジをしてもパジェロ人気はまったく衰えることはありませんでした。
トヨタにはハイラックス、日産にはテラノといった人気RV車がありましたが、最もよく売れていたのはパジェロです。
引用:https://minkara.carview.co.jp/userid/483626/blog/37723735/
パジェロの売れ行きを示すエピソードとして「1992年には月間販売台数で絶対王者のカローラを抜いて1位に立った」という話がよく出ますが、これも2代目パジェロの時代のことです。
しかし時代はその後1995年頃からのミニバンブーム、2000年代のコンパクトカーブーム、2010年代の軽ミニバンブームと移り変わっていきます。
1997年には世界初の量産型ハイブリット車としてトヨタがプリウスを発売し、今に至る低燃費車ブームの扉を開けたこともあって、パジェロにとっては当初の追い風からは想像もつかない逆風にさらされることになりました。
1999年には3代目、2006年には4代目とモデルチェンジを重ねましたが、結局2代目パジェロの時のような盛り上がりを起こすことはできずに販売は低迷を続け、ついには国内販売終了という残念な結果を迎えることになりました。
こうしてパジェロの歴史を振り返ると、これほど時代の波に翻弄された車というのも珍しいと思います。
見事に時代の波に乗ってバカ売れした初代と2代目、そして突然逆風に変わって販売がジリ貧になっていった3代目と4代目は非常に対照的です。
三菱時代が2000年のリコール隠し事件、2016年の燃費不正事件と次々に不祥事を起こして市場からそっぽを向かれたことも大きかったと思います。
パジェロ自体が云々ということとは別に、そもそも三菱の車を買おうとは思わなくなってしまったわけです。
車が売れなければ利益も出せず、利益が出せなければ新しい車の開発もままなりません。
パジェロが時代に合わせたテコ入れを受けることができなかったのも、これらの不正行為による販売不振が遠因と見ることもできるかもしれません。
新型パジェロのスペックのまとめ
引用:https://www.sankeibiz.jp/business/news/190424/bsc1904241747010-n1.htm
以上、新型パジェロの主要スペックについて紹介しました。
新型パジェロのディーゼル仕様は、ガソリン仕様と同一グレードで比べると約50万円弱高い価格となっています。
50万円弱高い価格と引き換えに何が得られるかというと前半部分で紹介した「低速域からモリモリ出てくるトルク」と「燃費の良さ」ということになりますが、この話をすると必ず聞かれるのが「50万円弱出しても元が取れるほど燃費が良いのか」ということです。
はっきり言うとよほど長く乗らない限り元を取るのは無理です。
これは冷静に計算をすればすぐにわかります。
元を取りたいと思うのであれば、最初から価格の安いガソリン仕様を選んだ方が幸せになれると思います。
豊かなトルク感がもたらす、ゆったりと大らかな走りを楽しみたい、という人にぜひディーゼル仕様を買って欲しいと思います。
この感覚は大排気量ディーゼル車ならではの感覚だからです。