2017年モデルのGT-R NISMOはどれだけ速い!? R35との比較も紹介!

特集!

日産のスーパースポーツ、GT-Rのスペシャルバージョン「GT-R NISMO」の2017年モデルの登場が目前に迫ってきました。

ここでは2017年モデルのGT-R NISMOに関する情報をR35と比較しつつまとめてみました。

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GT-Rの歴史を紐解く

2017年モデルの「NISSAN GT-R NISMO」をチェックする前に、まずはGT-Rの歴史を確認しておきましょう。

現在日産のラインナップ上でGT-Rは独立した車種となっておりますが、元々はスカイラインの中の1グレードとして存在しました。

初代のGT-Rの誕生は1969年、スカイラインとしては3代目。いわゆる「ハコスカ」の登場にまで遡ります。

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http://www.theverge.com/2016/3/23/11293378/nissan-skyline-gtr-photos-nyias-2016

元々スカイラインは、日産自動車ではなく「プリンス自動車」というメーカーの車種でした。

1957年に初代スカイラインが、1963年に2代目スカイラインが発売されますが、1966年に日産自動車がプリンス自動車を吸収する形で合併、その3年後の3代目の発売時にGT-Rが登場したわけです。

2代目スカイラインにはGT-Bというグレードが存在しましたが、これは当時のツーリングカーレースで大活躍をしました。

つまり初代GT-RはGT-Bの系譜を受け継ぐ形となりました。

ちなみに「羊の皮を被った狼」という有名なキャッチフレーズも元々はGT-Bにつけられたもので、初代GT-Rがそのまま受け継いでいます。

ハコスカGT-RもGT-B同様にツーリングカーレースで大活躍をし、日本を代表するスポーツカーとしての地位を確立していきます。

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http://www.theverge.com/2016/3/23/11293378/nissan-skyline-gtr-photos-nyias-2016

1972年にスカイラインは4代目にモデルチェンジしましたが、翌1973年には2代目となるGT-Rが登場します。これが「ケンメリGT-R」です。

しかしケンメリGT-Rはわずか3ヶ月で197台を生産しただけで販売を終了してしまいます。

ケンメリGT-Rは先代のハコスカGT-Rと同じS20型エンジンを搭載していましたが、このエンジンが「昭和48年(1973年)排出ガス規制」に適合出来なかったことがその理由とされています。

一説にはハコスカGT-Rの生産時に余ったS20型エンジンの在庫処分のためにケンメリGT-Rを作った、という話しもありますが、このような経緯のため現存するケンメリGT-Rはほとんどないといわれています。

ケンメリGT-Rの販売終了以降、スカイラインがモデルチェンジする度にGT-Rの登場を望む声がユーザーから出ましたが、5代目の「ジャパン」、6代目の「R30」、7代目の「R31」でも、スポーツグレードは設定されるもののGT-Rというグレード名が冠されることはありませんでした。

そして久々にユーザーの前にスカイラインGT-Rが復活したのが1989年、8代目スカイライン「R32」の登場時です。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3GT-R

ケンメリGT-Rの販売終了から実に16年振りのGT-R復活でした。

2,600cc直6DOHC4バルブのRB26DETTエンジンは当時の自主規制枠一杯の280psを叩き出し、これを支える足回りには「アテーサE-TS」という電子制御トルクスプリット4WDが奢られました。

R32スカイライン自体が今でも「歴代の中でも最も出来が良い」と高く評価されるモデルでしたが、GT-Rも例外ではなく、R32GT-Rは世界中のレースで軒並み表彰台を総ナメにしました。

その後もスカイラインのモデルチェンジに合わせて1995年にはR33GT-R、1999年にはR34GT-Rが登場しましたが、スカイラインの中の1グレードとしてのGT-RはR34が最後になります。

スカイラインはその後伝統の直6エンジンに別れを告げ、V6エンジンを搭載したV35スカイラインが2001年にデビューしますが、GT-Rというグレードは設定されませんでした。V35の登場後もR34GT-Rはそのまま販売が継続されましたが、2002年8月にひっそりと販売を終了、ここでGT-Rは再び姿を消すことになりました。そして2007年、GT-Rがスカイラインとは完全に切り離された単一の車種として復活します。これがR35です。

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http://www.autoevolution.com/cars/nissan-gt-r-r35-2007.html#aeng_nissan-gt-r-2007-38-v6-tt-480-hp

R35GT-Rはフェラーリやポルシェといった世界の名だたるプレミアムスポーツカーと対等に渡り合えるだけの高い動力性能を備える一方で、高い操縦安定性や静粛性も両立させ、市街地走行も全く苦にならないような扱いやすさも備えています。

天候や路面状況、運転者のスキルなどに左右されることなく「いつでも」「どこでも「誰でも」乗りこなすことが出来る、極めて日本的な懐の深い車です。

そしてR35GT-Rはマイナーチェンジとは別に「イヤーモデル制」を採っていることも特徴で、2011年以降は2016年を除いて毎年のように「○○年モデル」という形のリリースが続いています。

1番新しい2017年モデルは2016年7月27日にリリースされました。なお「GT-R NISMO」というモデルは2014年モデルと同時に発表され、2014年2月から販売が開始されました。

ニスモとは言うまでもなく日産の子会社でレース活動やレース向けパーツの設計、製造、販売等を行う「ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル」の通称です。

GT-R NISMOは「日産とニスモが生み出すパフォーマンスモデルの頂点」というコンセプトで開発されており、ニスモがレース活動で培った技術やノウハウが惜しみなく投入されています。

2016年5月27日にGT-R NISMOの2017年モデルの発売が日産から公式にアナウンスされ、3年振りにリニューアルすることになっています。

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http://www.nissan.co.jp/GT-R/nismo_design.html

GT-Rの2017年モデルは2016年7月27日に発売されましたが、本稿執筆時点でGT-R NISMOの2017年モデルの発売は未定となっています。



GT-R NISMO 2017年モデルはどう変わった?

2017年モデルのGT-R NISMOの変更点を見る前に、2017年モデルのGT-Rの変更点を軽く確認しておきましょう。

前述のようにR35GT-Rは2007年にデビューしており、今年で10年目を迎えます。今までに2010年と2013年にマイナーチェンジを行っているので、今回2017年モデルの登場に合わせて3度目のマイナーチェンジを行っています。

2016年のイヤーモデルの登場がなく、イヤーモデルの更新自体も2015年以来2年振りということもありますが、今回のマイナーチェンジは過去最大級のビッグマイナーチェンジとなっています。

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http://www.nissan.co.jp/GT-R/exterior.html

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http://www.nissan.co.jp/GT-R/exterior.html

まずエクステリアですが、明らかに今までのモデルに比べてスッキリとしたエッジの効いたデザインになりました。ぽっちゃりとした顔からかなり精悍な顔に変わった印象です。

フロントグリルも最新のメッシュパターンを採用した新デザインとなっており、空気抵抗の軽減と冷却性能の向上を両立させました。

リヤ周りは伝統の丸目四灯型のテールランプはそのままですが、サイドアウトレットの形状を変更して空力特性を向上させるような処理がされています。

また、バンパー下部とボディカラーを分けるラインが今までよりも高い位置になったりもしていますので、どこから見てもGT-Rとわかるデザインでありながらも確実に引き締まって洗練されたものになりました。

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http://www.nissan.co.jp/GT-R/interior.html

インテリアも大幅に変更されています。真っ先にわかるのがナビディスプレイです。従来までは7インチでしたが、2017年モデルから8インチになりました。

また、センターコンソール上にITコマンダーが設置されているので、運転中に前に乗り出すことなく手元でモニター操作をすることが出来るようになりました。

シフトパドルもステアリングコラムに固定されたタイプからステアリングホイールに固定されたタイプに変わっています。ステアリングの動きに追従してくるため、ドライバーが手を離さずに操作出来る範囲はコラム固定タイプに比べて広くなるはずです。

ただしカーブなどで大きくハンドルを切っている状態では多少使いにくい場合もあるため、好みが分かれるところかもしれません。

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http://autoc-one.jp/news/2800623/

エンジンは3,800ccV6ターボエンジン(VR38DETT)で変更はありませんが、各部の徹底的な見直しによって最高出力が550psから570psへ20psアップしています。燃料消費量はほとんど変わらないとのことなので、従来燃費を維持したままのパワーアップとなります。

他にも6速デュアルクラッチトランスミッションは変速時のノイズとショックをより低減させた上にスムーズな加速とドライビングフィールの向上を果たし、ボディ剛性の向上と足回りのセッティングの見直しによってタイヤの接地感と高速走行時の安定性の向上も図られています。

このように2015年モデルと比べてかなり熟成の進んだ2017年モデルのR35GT-Rですが、GT-R NISMOの2017年モデルは当然これを上回る装備とスペックを実現させています。

2017年モデルのGT-R NISMOの特徴をひと言で表すと「空力特性の見直しによる超高速走行の安定性の向上」です。

2017年モデルのGT-Rもエクステリアの変更によって空力特性が向上していますが、GT-R NISMOは専用のエアロパーツを装備することによってより高いレベルの空力性能を獲得しています。

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http://www.nissan.co.jp/GT-R/nismo_design.html

真っ先に目に入るのが専用フロントバンパーでしょう。これはカーボンファイバー強化樹脂で作られたものですが、フロントのホイールハウス周辺の空気を整流するために若干車体の外側に拡がる形になっています。

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http://www.motorauthority.com/news/1104180_2017-nissan-gt-r-nismo-revealed

後方からの画像を見るとわかるように、サイドシルプロテクターにリヤバンパーとぐるりとカーボンファイバー強化樹脂製のエアロパーツで囲まれていますが、やはり若干車体の外側に拡げられています。

これらのパーツの効果によって、2017年型のGT-R NISMOはこれまでの日産車の中でも最大のダウンフォースを獲得しているそうです。

つまり超高速域で走行をしても車体が浮き上がることなくしっかりと接地した状態が維持されるので、エンジンパワーをロスすることなく路面に伝えることが出来るわけです。

GT-R NISMOの空力デザインはSUPER GTのレース車両を手掛けたエンジニアが担当していますので、まさにレースでのノウハウがそのまま投入されているといえます。

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http://www.roadandtrack.com/new-cars/future-cars/news/a29327/2017-nissan-gt-r-nismo/

また、エンジンフードの剛性が大幅に強化されており、超高速域での走行でのエンジンフードの変形が抑制されるようになっています。この点からも空力特性が大幅に向上していることが伺えます。

足回りについてはノーマルのGT-Rもボディ剛性の向上に合わせてセッティングを変更していますが、GT-R NISMOはここに更に特別な専用チューニングを施しています。

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http://www.nissan.co.jp/GT-R/nismo_mechanism.html

2017年モデルのGT-R NISMOはフロントウインドウフレームが強化されていますので、フロントのボディ剛性が更に向上しました。これもコーナリング性能の向上に一役買っているといえます。

エンジン出力は従来型のGT-R NISMOと同じ600psに変更はありません。

レース用車両である「NISSAN GT-R NISMO GT3」でも使用されている専用ターボチャージャーを搭載しています。

2017年モデルでは電子制御バルブ付チタン合金製マフラーを採用することによって軽量化を図っています。

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http://www.nissan.co.jp/GT-R/nismo_cockpit.html

インテリアの変更点は2017年モデルのGT-Rに準じますが、GT-R NISMOは専用のカーボンバックバケットシートやアルカンターラ巻きステアリングなど、よりプレミアム感の高いものが装備されます。



2017年モデルのGT-R NISMOまとめ

以上、2017年モデルのGT-R NISMOについての情報をまとめてみました。

本稿執筆時点で2017年モデルのGT-R NISMOは予約すら始まっていないので、実際の性能を体感することは出来ません。

しかしGT-Rは(条件が許せば)時速300km/hの世界をいとも簡単に味わうことが出来るという車なので、そのスペシャル版たるGT-R NISMOの性能たるや推して知るべし、というところです。

2014年モデルのGT-R NISMOはドイツのニュルブルクリンクサーキットで当時の量産市販車の最速ラップタイムを記録しましたが、2017年モデルのGT-R NISMOが世界のスポーツカーとどのような争いを繰り広げるのか、今から市販されるのがとても楽しみですね。