2020年1月9日、日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会は、2019年(1月~12月)の車名別新車販売台数ランキングを発表しました。
発表によると、1位がホンダN-BOX、2位がダイハツタント、3位がスズキスペーシアと、1位から3位までを軽自動車が占めました。
10位までだと5車種が軽自動車となり、日本の自動車市場における軽自動車の人気の高さがよくわかります。
中でも5車種中4車種がダイハツ、スズキ、ホンダの軽自動車となっており、軽自動車市場はこれらのメーカーが支えていると言っても過言ではありません。
そこで今回は、ダイハツ、スズキ、ホンダの軽自動車の中から、各メーカーおすすめを1車種ずつをピックアップして紹介していきます。
目次
【2019年ダイハツのおすすめ軽自動車】ダイハツタント/タントカスタム
引用:https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/1188/609/html/001_o.jpg.html
2019年ダイハツの軽自動車の中でおすすめしたいのは、タント/タントカスタムです。
タントは全高が1,700mm台の軽トールワゴンで、直接的なライバルはホンダN-BOX/N-BOXカスタム、スズキスペーシア/スペーシアカスタムなどになります。
このクラスは軽自動車の中では最も人気が高く、2019年の新車販売台数ランキングではN-BOXが断トツで1位、タントが2位、スペーシアが3位となっています。
このランキングは普通車も含めたものなので、今の日本の自動車市場で最も人気のクラス、と言っても過言ではありません。
1,700mm台という全高は、高い居住性を確保できる高さでありながら走行安定性を妨げない、というギリギリの高さなのが人気の秘密でしょう。
1つ下の1,600mm台のムーヴやワゴンRはやや全高が低くなるので、例えば小さな子供が車内で立ったまま着替えることができない、といった不都合が生じます。
更にこのクラスは後席ドアがヒンジ式になっているものが多く、スライド式ではない、という難点もあります。
逆に全高が1,800mm台のウェイクやアトレーワゴンなどは、居住性が更に高くなるものの、その全高の高さ故にカーブなどでどうしても走行が不安定になります。
普通に走っている限り倒れるようなことはありませんが、交差点やカーブでは十分に減速した上で走行しないと怖さを感じてしまいます。
以上のような理由で全高1,700mm台の軽自動車は人気なわけですが、タント最大の特徴は何といっても「ミラクルオープンドア」にあります。
引用:https://clicccar.com/2019/08/15/903227/20190731_daihatsu_tanto_50/
ミラクルオープンドアは、助手席側のドアにピラーが内蔵されているので、前席ドアと後席ドアを開けると開口部が非常に大きくなります。
そのため後席へのアクセスが非常に良好で、子供を抱っこしたまま後席に荷物を積んだり、体の不自由なお年寄りが後席から降りたり、といったことがラクにできます。
引用:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/04_interior.htm
また、ベビーカーや子供用の自転車、高さのある観葉植物などもそのまま積むこともできます。
「ミラクルオートステップ」という、ミラクルオープンドアに沿った形で設置されるステップもオプションでつけることができるので、足の不自由な人でも乗り降りがしやすいです。
引用:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/04_interior.htm
そして現行型のタントから「運転席ロングスライドシート」という機構が追加され、運転席が最大で540mmスライドするようになりました。これは世界初の機構です。
助手席も380mmスライドするので、運転席を後ろへ下げ、助手席を前に出せば、車外へ降りずに運転席から後席へアクセスすることができるようになりました。
引用:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/04_interior.htm
後席のチャイルドシートに子供を座らせている場合、一旦車外へ出てから後席ドアを開ける、という2ステップを飛び越え、車内から直接子供の元へ行くことができるので、とても便利です。
このように「人に優しい作り」になっているのがタント最大の特徴といえます。
子育て世代の皆さんにはもちろん、お年寄りがいる家庭や、買い物なので大きな荷物を積む機会が多い人などにおすすめです。
【2019年スズキのおすすめ軽自動車】スズキハスラー
引用:https://www.webcartop.jp/2019/12/473366/
2019年スズキの軽自動車の中でおすすめしたいのは、ハスラーです。
ハスラーは軽自動車には珍しいSUVで、2014年に初代が発売されてから、SUV人気の波にも乗って大きな人気を集めてきました。
2020年1月にフルモデルチェンジを受けて2代目となりましたが、デザインは基本的に先代の特徴が維持されています。
ただ、先代に比べるとエッジが鋭いデザインになっているので、全体的には多少角ばった印象になっています。
また、ピラーもボディと同色化されたので、全体的に統一感と高級感が出たと思います。
ハスラーの特徴は、何といっても「アウトドアレジャーにぴったり」ということでしょう。
「軽自動車でアウトドア」というと頭に浮かぶのはスズキジムニーだと思いますが、ジムニーは無敵のオフロード性能を誇る一方で、3ドアであるという最大の弱点を抱えています。
3ドアだと買い物や家族の送迎などにはやや使い勝手が悪く、普段使いする車としてはやや躊躇してしまいます。オフロード性能が高いのは心強いですが、そこまで本格的なオフロード性能が求められるのは雪国に住んでいる人の他は、オフロード走行を趣味にしている人くらいでしょう。
日本は道路の整備が行き届いているので、ちょっとした海やキャンプ場でも、車にそれほど高いオフロード性能が求められることはあまりありません。普段の使い勝手を考えると、ハスラーの方がより多くの人に向いているといえるでしょう。
ハスラーも最低地上高は180mm、アプローチアングルは29°確保されているので、多少のオフロード走行は無難にこなしてくれます。もちろん4WDも用意されています。
引用:https://www.suzuki.co.jp/car/hustler/performance_eco/
4WDはスノーモードやグリップコントロール、ヒルディセントコントロールも備えているので、ジムニーほどではないものの、それなりに本格的な走りを楽しめるようになっています。
荷物の積載性ですが、これは正直なところスペーシアのような軽トールワゴンに比べると積める量は少ないと言わざるを得ません。ハスラーは高さがないので、その分不利になるからです。
しかし随所に様々な工夫が凝らされているので、「アウトドアレジャーの荷物を積む」という観点で考えると、ハスラーの方が便利です。
引用:https://www.suzuki.co.jp/car/hustler/luggage/
リヤシート背面とラゲッジフロアは、汚れや水分を拭き取りやすい素材になっています。そのため汚れものを積んでも拭き取りや水洗いがしやすいです。
そして6カ所のユーティリティーナットが備えられているので、車中泊時にLEDランタンなどを下げたりすることができます。
更に、ラゲッジボードを外すとアンダーボックスが出現します。ここには汚れたものや濡れたものなど、他の荷物とは別にしておきたいものを入れておくことができます。
あるいは登山などで長時間車から離れる時に、貴重品を隠しておく場所としても使えそうです。
アンダーボックスは簡単に取り外すことができるので、汚れたら水洗いすることも可能です。
リヤシートを倒せば大人2人が車中泊をすることもできますので、軽自動車で気軽にアウトドアレジャーを楽しみたい、という人にハスラーはぴったりです。
引用:https://www.suzuki.co.jp/car/hustler/luggage/
【2019年ホンダのおすすめ軽自動車】N-BOX/N-BOXカスタム
引用:https://dime.jp/genre/493789/
2019年ホンダの軽自動車の中でおすすめしたいのは、N-BOX/N-BOXカスタムです。
全国軽自動車協会連合会が発表した2019年の車名別新車販売台数ランキングによると、N-BOXは25万3,500台を販売して第1位に輝きました。
日本自動車販売協会連合会が発表した普通車の車名別新車販売台数ランキングの1位はトヨタプリウスですが、こちらは12万5,587万台の販売なので、N-BOXはプリウスにダブルスコアに近い差をつけて日本で最も売れた車、ということになります。
道路を走っていても、駐車場を見ても、右も左もN-BOX、というのは決して言い過ぎではありません。そのくらいN-BOXはよく売れています。
N-BOXがなぜここまで売れているのか、その理由は雑誌やカタログを見ているだけではとてもわかりにくいと思います。
それはN-BOXの良さはスペックなどの目に見えるものに現れにくいからです。
例えば燃費はスペーシアの方が良いですし、室内空間も軽自動車という限られた規格の中なのでそれほど大きな差はつきません。
N-BOXの良さは「走りの良さ」にあると思います。ここで言う走りの良さとは、「速い」とか「パワーがある」という話ではなく、「全体的な走りの質が素晴らしい」という意味です。
引用:https://autoc-one.jp/honda/n-box/report-3476432/photo/0033.html
N-BOXの走りの良さは、停止状態からアクセルを踏み始めて10秒も経てばわかります。足回りのしっかり感、どっしり感が他の軽自動車とは明らかに違います。この時点で「え、これ本当に軽自動車?」という感覚に襲われます。
その後速度域を上げていっても、このしっかり感は変わりません。タイヤや足回りがしっかりと路面に吸い付いているような感覚がありますし、多少の横風が吹いても、背の高い軽自動車にありがちなフラつきがほとんどありません。
加えて、CVTとエンジンのマッチングが非常に優れていて、アクセルを踏み込んだ量とエンジンの回転数の伸び、速度の伸びの感覚がきちんと一致してくれます。マッチングが悪い車だと、アクセルを踏み込んで回転数が上がっても、速度がワンテンポ遅れて伸びてくる感じがあり、この「感覚のズレ」が大きな違和感を生みます。
N-BOXにはこのようなCVT独特の「気持ち悪さ」がないので、走っていてとても気持ちが良いです。
以上のような感覚はカタログには出ません。
カタログに出るN-BOXの良さも1つ挙げておくと「室内空間の居住性の高さ」があります。
N-BOXはホンダが特許を持っている「センタータンクレイアウト」を採用しているので、ガソリンタンクが前席下部にあります。
そのため後席周りの自由度が高く、シート位置が比較的低めに設定されています。
シート位置が低いということは頭上高が稼げるということにつながります。頭の上から天井までのスペースが広く取れる、ということです。
頭上高の高さは視界の抜けが良くなるので、実際に数値以上に感覚的な部分で広さを実感しやすくなります。
そのためN-BOXの後席には、軽自動車の後席にありがちな圧迫感があまりありません。
また、N-BOXは後席座面のが肉厚なので、長時間座っていても疲れない、というメリットもあります。
引用:https://www.honda.co.jp/Nbox/webcatalog/interior/cabin/
そしてシートの仕様が「ベンチシート仕様」「スーパースライドシート仕様」「スロープ仕様」の3種類が用意されている点も注目です。
引用:https://www.honda.co.jp/Nbox/webcatalog/interior/easy-to-use/
ベンチシート仕様は1人でもシートを広く使えたり、運転をする人が助手席側のドアから乗り降りできる、といったメリットがありますし、スーパースライドシート仕様は助手席を大きくスライドさせて後席にアプローチできるため、後席のチャイルドシートに座らせた子供の面倒をみやすい、といったメリットがあります。
スロープ仕様は車椅子を直接車内へ乗り入れることができますし、自転車やミニバイクなど趣味の道具も積みやすくなります。
このように、ニーズに合わせてシートの仕様が選べるのも、N-BOXの良いところです。