ポルシェの新型718ボクスターの試乗レポート!

特集!

ポルシェボクスターが「718ボクスター」として新登場しました。

こちらでは718ボクスターにいたるまでのボクスターの歴史と、718ボクスターの試乗レポートをお届けします。

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ポルシェボクスターの歴史

ボクスターはポルシェが販売するロードスター(オープンカー)です。

第1世代のボクスターがデビューしたのは今から20年前の1996年のことで、これは通称986ボクスターと呼ばれます。

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http://ameblo.jp/porpor01gt3/entry-12119986658.html

986ボクスターは1991年から1995年まで生産された968の後継モデルという位置づけでしたが、968は直列4気筒エンジンを搭載したFRだったのに対して986ボクスターは水平対向6気筒エンジンを搭載したMRでした。

ポルシェがMRを生産したのはポルシェ914以来20年振りのことで、当時は大いに話題を呼びました。

ちなみにボクスターの由来は水平対向エンジンを表す「Boxer」とポルシェのオープンモデルの呼び名「Speedstar」を掛け合わせた造語です。

ポルシェの代名詞的存在である911に比べてエンジン出力や価格などあらゆる面で抑えめに設定されていたことから、エントリーモデル的な位置付けとなり、「プアマンズポルシェ」などと揶揄されながらも大ヒットを記録しました。

当時ポルシェは経営難に陥っており、起死回生のまさに社運をかけた1台として市場投入されましたが、ボクスターのヒットを皮切りにポルシェ人気が復活、翌年の996型911や2003年のポルシェ初の5ドアSUV、カイエンの投入のきっかけを作りました。

ポルシェにとっては救世主的な1台であったといっても過言ではないでしょう。

初期モデルは2500ccで206psと国産車のスポーツカーと比べても非力なものでしたが、後に2700ccの220psにパワーアップします。

最終的には上級モデルとしてボクスターSというグレードが追加され、こちらは3500ccの252psにまで到達しました。

2003年のマイナーチェンジではそれまで批判の的であったビニール製のリヤウインドウがガラス製になるなど年々完成度を高めていきました。

986ボクスターはその後2004年には第2世代のボクスターとして987ボクスターにバトンタッチします。

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http://www.gooworld.jp/magazine/buyers/5061.html

シャシーは先代の986ボクスターと共通でしたが、ボディ剛性や足回りなどは徹底的に見直しが図られ、手を加えられました。

997型911と並行して開発されたために約半分以上のパーツを997と共有しています。顔つきも997型911に近い顔になり、よりポルシェらしいフォルムを与えられました。

987ボクスターは翌年に発売されるケイマンのベースになっていることからもわかるように、ややもすればエントリーモデルとして格下に見られがちなボクスターが、立派なポルシェファミリーの一員であることを証明するだけのポテンシャルを備えていました。

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http://lunardrops.exblog.jp/17204478/

そして第3世代のボクスターは981ボクスターとなり2012年に登場します。

987ボクスター同様991型911と多くのパーツを共用していましたが、シャシーは先代のものに比べて47%がアルミ化され、一層の軽量化が行われました。

もはや第1世代のボクスターである986ボクスターのパーツは少なくとも主要コンポーネントではほとんど使用されず、全面変更の新設計に近い状態にまで改められました。

エンジンは2900ccから2700ccへと200ccダウンしましたが、最高出力は255psから265psと10psアップしています。

ただしボクスターSは先代と同じ3400ccのままで最高出力だけ310psから315psへと5psアップしています。

もはや単純にエントリーモデルとして片づけられないまでのスペックを獲得したと言っていいでしょう。

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http://autoc-one.jp/news/2557695/

そして今年2016年、第4世代ボクスターとして718ボクスターが発売となりました。

718ボクスターからはエンジンが水平対向4気筒ターボエンジンとなり、ケイマンとの位置関係が逆転しました。

つまり先代まではボクスターの上位車種がケイマンでしたが、718ボクスターからはケイマンの上位車種がボクスター、ということになります。

そして先代まではあくまでも「ボクスター」が正式車名で、世代を区別するために「986ボクスター」「987ボクスター」「981ボクスター」と呼んでいましたが、2016年からは「718ボクスター」が正式な車名となりました。

なお、ケイマンも「718ケイマン」が正式車名となり、ポルシェのラインナップとしては「718シリーズの中に718ケイマンと718ボクスターがある」という形になります。



718ボクスターの概要

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http://www.porsche.com/microsite/718/japan.aspx#home

それではまず718ボクスター(マニュアル)の概要を確認しておきましょう。

■エンジン

2000cc水平対向4気筒ターボエンジン

■最高出力

220kW(300ps)

■最大トルク

380Nm

■最高速度

275km/h

■0-100km/h加速

5.1秒

■0-160km/h加速

11.3秒

■フレキシビリティ(80-120km/h)

5.6秒

■車体サイズ(全長×全幅×全高)

4379mm×1801mm×1281mm

■ホイールベース

2475mm

■空気抵抗係数

0.31

■車両重量

1335kg

■燃料タンク

54l

■価格

658万円

 

続いてボクスターS(マニュアル)の概要です。

■エンジン

2500cc水平対向4気筒ターボエンジン

■最高出力

257kW(350ps)

■最大トルク

420Nm

■最高速度

285km/h

■0-100km/h加速

4.6秒

■0-160km/h加速

9.7秒

■フレキシビリティ(80-120km/h)

5.0秒

■車体サイズ(全長×全幅×全高)

4379mm×1801mm×1281mm

■ホイールベース

2475mm

■空気抵抗係数

0.32

■車両重量

1355kg

■燃料タンク

64l

■価格

852万円

718ボクスターは排気量が2000cc、2500ccと先代に比べて小さくなったものの最高出力は300ps、350psと大幅にアップしています。

これはひとえに718ボクスターのために新開発されたターボチャージャー、いわゆるダウンサイジングターボのおかげです。

そして718スパイダーではトランスミッションが6速MTとPDK(Porsche-doppelkupplung=ポルシェ・ドッペルクップルング)が選べるようになっています。

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http://www.porsche.com/japan/jp/models/718/718-boxster/chassis/steering/

718ボクスターはエンジン出力の向上に伴ってシャシーも一新しています。

サスペンションのコイルスプリングやスタビライザーのレートを強化することによって、より激しいスポーツにも対応可能です。

電動ステアリングの応答性も先代に比べて10%ほど高められており、よりリニアで車と一体感のある走りが楽しめます。

シャシーは電子制御ダンパーシステムであるPASM(Porsche Active Suspension Management=ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)がオプションで選択可能です。

PASMは「ノーマル」と「スポーツ」2つのダンピングモードが用意されており、路面状況や運転スタイルに応じて各ホイールのダンパーの減衰力を無段階に調節することが出来、走行安定性や快適性をより高めます。

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http://www.motor.es/noticias/porsche-718-boxster-201625551.html

718ボクスターのインテリアはポルシェ伝統のスタイルを踏襲しながらも高級感に溢れ、機能性にも優れています。

インテリアで注目すべき機能としてはPCM(Porsche Communication Management=ポルシェ・コミュニケーション・マネージメントシステム)が挙げられます。

これは2015年に991型911のマイナーチェンジ時に初登場した新開発のシステムです。

カーナビを兼ねた7インチマルチタッチディスプレイに手を近づけると自動的にメニューが表示され、スマートフォンやiPodなど外部機器を接続して統合的に操作をすることが出来ます。

機能的には国産車に標準的に装備されているカーナビ等に比べて特別優れたものではありませんが、今まで日本仕様のポルシェは2DINナビをはめ込んだだけという味気のないものだったことを考えれば大幅な進化と言えると思います。



718ボクスターを試乗してみた

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http://autoc-one.jp/porsche/718_boxster/launch-2741370/

このたびポルシェ718ボクスター(PDK)に試乗する機会を得ましたので、そのレポートをお届けしましょう。

7月とはいえ気温は25度程度しかなかったので、幌を開けてオープンの状態で走りました。

やはりボクスターは幌を外して走っている方がスタイリッシュだと思います。

ただし市街地走行時は周囲の車や歩行者から大きな注目を浴びてしまいます。これは致し方のないこととして諦めるべきでしょう。

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http://autoc-one.jp/porsche/718_boxster/launch-2741370/

試乗を行ったのは都内だったので渋滞に巻き込まれるような場面もありましたが、ミッションはPDKなので何の苦も無く運転することが出来ました。

かつて5速MTのポルシェ911に乗って都内を走った時に重いクラッチで足が攣ってしまったのを思い出すと隔世の感があります。

背中にエンジンを背負っているMRにも関わらず、実に静かで快適にドライブをすることが出来ました。

ターボのおかげか981ボクスターに比べると低回転域からパワーがモリモリと出ている感じがありますので、より低いエンジン回転数でシフトアップしていることも奏功しているようです。

981スパイダーとの違いを最も感じるところはやはりエンジンです。

安全かつ交通量のない場所でゼロ発進からアクセルを全開にしてみましたが、一瞬脳みそが置いて行かれる感じを覚えるほど猛烈な加速を見せてくれました。

981ボクスターも間違いなく速かったのですが、718ボクスターは981ボクスターに比べるとある意味異質な速さです。

981ボクスターの方がアクセル開度やエンジン回転数に対してリニアに車速が伸びていく感じがしますが、718ボクスターはそのような確認作業をする暇もなくあっという間に加速していきます。

恐らく718ボクスターの方が単純に最高出力が高いということ、ターボがついているため低回転域からパワーがついてくることがその理由だと思います。

ひたすら速さを求める向きには718ボクスターの方が良いのでしょうが、胸のすく加速感というか、気持ちのよい加速感を求める方には981ボクスターの方が面白いと感じるのかもしれないと思いました。

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http://carview.yahoo.co.jp/article/photo/20160601-20102857-carview/15/#contents

少し気になったのは、アクセルを大きく開けて加速しようとするとワンテンポの半分、秒数にすると0.5秒ほど加速が始まるのが遅れることです。

これが試乗車のみの現象なのか、PDK独特のタイムラグ的なものなのかはわかりませんが、あまり気分の良いものではありませんでした。

ポルシェの水平対向エンジンといえばアイドリング時に「ボロボロ」という感じの音がしますが、加速をしていくと「キュイーン」という甲高い音に変わっていくのが特徴です。

しかし718ボクスターの加速時の音はあまり甲高い音がしませんでした。少なくとも981ボクスターに比べるとかなり低い音に感じました。

妥当な例え方かどうかわかりませんが、2代目、3代目のレガシィの水平対向エンジンの加速時の音に近いような感覚です。

ポルシェ独特の甲高い金属音のような加速音が好きな方には少々物足りないかもしれません。

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http://motorshow.carview.yahoo.co.jp/geneva-motorshow/news/20160127-10238262-carview/

足回りに関しては乗り心地の悪さを感じるような場面は一切ありませんでした。

ひと言でいうと「滑らか」です。

あちこち掘り返して路面がガタガタになっているような道路も走りましたが、不快な突き上げ感があるということもなく、サスペンションが全てのショックを吸収してくれているのがよくわかりました。

981ボクスターに比べると足回りはソフトになっているのかな、と感じました。

しかし首都高のカーブが連続するような場所でちょっとペースを上げて走ってみるとしっかりと足が引き締められている様子は伝わってくるので、決して足回りがふにゃふにゃしているというわけではないでしょう。

この辺はもう少し攻められる場所で走ってみないとわからないと思います。

試乗全体を通じて感じたのは「間違いなく速いし素晴らしい車だけど、ポルシェとしてみた場合に違和感がある」ということです。

昔からのポルシェの伝統的なイメージを頭に描いたまま718ボクスターに乗ると、最悪の場合は「新しいポルシェはなんてつまらないんだ」と感じてしまうかもしれません。

これは6気筒から4気筒になったことと、ダウンサイジングターボ化のせいに他なりません。

好みは分かれるかもしれませんが、少なくともポルシェに乗ったことのない方や981ボクスターからの乗り換えであればこの違和感を感じることはなく、単純に「さすがポルシェ、素晴らしくよく出来た車だ」ということになるでしょう。



ポルシェの新型718ボクスターの試乗レポート!まとめ

以上、ポルシェ718ボクスターのご紹介でした。

ダウンサイジングターボ搭載の流れは国内、国外のメーカーを問わずもはや時代の趨勢ですが、これによってメーカーや車種ごとの伝統的な味付けが損なわれてしまう、ということが多々あるように思います。

ポルシェはその典型かもしれません。

しかしダウンサイジングターボを搭載しようとも、718ボクスターはその中で表現出来る「ポルシェらしさ」をしっかりと打ち出して来ていると思いました。

全国のポルシェ正規販売店で718ボクスターの試乗は続々と始まっていますので、興味のある方はぜひ1度実際にハンドルを握ってみて下さい。

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