価格先行の感が強い、新型NSX。
「日本最高額」「2,000万円を超えた…」という経済紙、ネットでの評判は、一気に「憧れではあるが、手が届かない」というスーパーカーそのものになっています。
とはいえ、誰もが夢を見るスーパーカーの存在は、その性能を机上で想像するだけではもったいないもの。
ぜひ内装にも心を寄せて、ドライブマインドを逞しくしていきましょう。
昨今、レクサスをはじめとする国産上級車種のインテリアクォリティは目をみはるばかり。
特にレザー素材とファブリックの組み合わせは絶妙といったところでしょう。
ただ、200万円以下の乗用車の場合、硬質プラスティックとポリプロピレンを随所に使用しています。
実は、NSXとて、総革張りでもなければ豪華な本木目を使っているわけではありません。
2,000万円を超えるスーパーカーの内装とはいかなるものか?
まずは実車の画像から見て参りましょう。
目次
アルミ素材をインテリアに採用しているNSX
引用:http://www.honda.co.jp/NSX/webcatalog/interior/design/
NSXのインパネは非常にオーソドックスな形状だ。
画像で見るとプラスティックに見えてしまうセンターコンソール付近の形状だが、実際にはアルミニウムをふんだんに使用しており、むきだしの素材感が非日常的な空間を演出している。
説明するに、インパネセンター部分には、上から《7インチタッチスクリーン》がある。
その下は、《エアコンコントロールパネル》、そして《走行モードを切り替えるダイナミックモードダイヤル》を配置している。
最近のスポーツタイプの車は、センターコンソール下からニュウと突き出たシフトノブをどんどん消し去ろうとしているようだ。
ボタンによるシフトチェンジが主流となっているのは、指先でスマートフォンを操る現代人に欠かせない所作なのだろう。
新型NSXでも、センターコンソールにはレバーではなく“P”、“R”、“N”、“D/M”の4つのシフトスイッチと、パーキングブレーキの操作ボタンがうまく並べられているのが特徴だ。
慣れないとシフトチェンジは難しいが、スポーツシートにどっかりと着座してしまうと、このシフトボタンはなかなか面白いものとなる。
引用:http://www.honda.co.jp/NSX/webcatalog/interior/design/
シートはアルカンターラを取り入れている
引用:http://levolant-boost.com/2016/03/17/7552/interior_1/
引用:http://www.honda.co.jp/NSX/webcatalog/interior/design/
カラーリングにはどうしても、レッド・サドル(キャメルよりも若干濃いめか)・ホワイト・ブラックも4色が用意されている。
レザーに関してはセミアニリンのフルレザーがオプション設定。
セミアニリンは生地の名前ではなく顔料のなめし方をいう。
牛革自体ははっきり言えば、それほどシボの入り方がオリジナルであることぐらいで、なめし方の違いは凡人には全く分からないものだ。
ところがこれはドイツでもイギリスでもイタリアでも同じようなもので、メーカーがどのレザー工房の製品を使っているか…だけが問題であって、中身はなかなかわかりづらい。
コンヴァーティブルタイプが正式に発売でもされるのなら、シートに色味はもうひとひねり必要なのかもしれない。
が、NSXの2座にしてみれば、やはりブラックが一番の似合いであることは間違いない。
なぜなら、シート自体も骨格はアルミで、座面がアルカンターラにした理由は、生地が細かく、滑りずらい特徴のせいだ。
日本生まれのアルカンターラが高級車の必須アイテムであることと、NSXの採用は、偶然の一致に過ぎない。
引用:http://www.honda.co.jp/NSX/webcatalog/interior/cabin/
実は液晶パネルでしかない、メータークラスタ
引用:http://www.honda.co.jp/NSX/webcatalog/interior/cabin/
スーパーカーのインテリアは、非常にシンプルでなければならない鉄則がある。
理由は簡単だ。300km/hをすっ飛ばす車に必要な条件は、エンジンの回転数を指し示すタコメーター。
平均速度や燃費、タイヤの空気圧、エンジンオイルのレベルや寿命が判れば、それ以上は不要だからだ。
特に大事なのは、4つのモード選択に確認。
車があらかじめ4つの走り方を覚えていて(プログラミングされていて)、速度リミッター限界まで走ることが可能になっている。
そのメーターも、実際には液晶パネル上の表示でしかなく、メーター自体がそこにあるのではない。
TFT液晶ディスプレイはなかなか秀逸で、8インチいっぱいにタコがアナログ式で表示されるため、あたかもそこにタコがあるような錯覚に囚われる。
非常に大型表示のため、モード内容、水温系、バッテリーの充電度合いなども瞬時でわかるようになっている。
この辺りはアメリカでの使い勝手をよく研究している。
ステアリングホイールは意外に大きい?
引用:http://www.honda.co.jp/NSX/webcatalog/interior/cabin/
アルミ、カーボンファイバー、そしてマグネシウム…NSXに使用されている素材は、まさにボーイング787そのもの。
軽量化と耐熱耐寒性、そして耐用年数の高い素材。ステアリングホイールには、軽さと強度を両立するマグネシウムフレームが採用。
クワイエットモードならば、モーター走行発進が可能で、ほぼ無音でこのスーパーカーを取り回しできるわけだ。
それが、このマグネシウム素材ということは、まさに操縦桿としての雰囲気を醸し出そうと考えたにちがいない。
左スポークにはオーディオ関係と携帯電話、右スポークにはMIDとクルーズコントロールの操作スイッチが設置されていることも、なかなか面白い。
リムは革巻きが標準なのだが、カーボンファイバートリムもオプション選択可能。
カーボンは繊維面が細かく入っており、なかなか洒落ている。
引用:http://amd.c.yimg.jp/amd/20160815-20102941-carview-000-7-view.jpg
引用:http://amd.c.yimg.jp/amd/20160915-20102973-carview-007-6-view.jpg
素材感でまとめたNSX
引用:http://www.tomtomsvoice.jp/voice/wp-content/uploads/2015/10/NSX_Rear2.jpg
2,000万円の車がどんな内装なのか?おそらく多くの方は「色っぽいドアノブ」「洒落たコンソール」などを想像するかもしれない。
ところが、実際にはそういうことはない。
ただ、素材そのものにお金がかかっているのは間違いがない。
カーボンファイバー一つを例に取ってみよう。
カーボンファイバーには、カーボンファイバーとなる前のベース素材がある。
それは《ポリアクリロニトリル》と呼ばれる有機ポリマー。
ごく近いものとしてはセーターやカーペット原料の《アクリル繊維》だ。
加工コストが膨大にかかるカーボンファイバーだが、《ポリアクリロニトリル》が加工されることで、鉄鋼材よりも軽く堅固になることが理由。
1ポンド(454g)が3ドル(300円~360円)が製品化過程によって、この2倍のコストがかかり、素材のカーボンは加工段階でなんと半分の大きさに減ってしまう。
理由は半分を占めるアクリル素材を排除しなければならないからだ。
実際に、カーボン素材の加工には人件費や設備運営費など様々な付帯費用が必要になるから、大きめのサーロインステーキ1枚が1,000円近くになるのも分かるだろう。
素材はあくまでも素材で、自動車用に加工されるととんでもない金額に落ち着くのだ。
引用:http://fsv-image.autoc-one.jp/images/2619943/039_o.jpg
引用:http://cdn.mkimg.carview.co.jp/minkara/photo/000/002/944/560/2944560/p2.jpg?ct=2e765202548e
2370万円というプライスに関して、ホンダはどう考えているのだろうか?
答えは「量産車としてのスーパーカー」で、走りを完全に意識したスポーツカー、そして芸術品ではないことを考えると、分かる方にわかってもらえる普段使いの車、という答えが出てくるのではないだろうか。
1億円も2億円もするスーパーカーは欧米から数十種類も製造されている。
ブガッティもマクラーレンも皆数十台から100台程度の超プレミアムカーだ。
だが、NSXは初代だけで1万8千台も発売したようだ。今回もまた同じようなことになるだろう。
NSXの一番の売りは、サービス体制。
売りっぱなしのメーカーならば、それでもいいだろう。
ただ、ホンダは世界的なメーカーだ。
コストパフォーマンスの良さ、サービスの良さを考えて、トータル的に価格を見ていきたい。
インテリアだけに絞っても仕方がない話なのだ。
引用:http://livedoor.blogimg.jp/sports_car_news/imgs/6/5/65a93ef4.jpg
引用:http://seekdrive.net/wp-content/uploads/2013/04/next_new_nesx.jpg