ホンダN-BOX、ダイハツタントなど、軽自動車の中で売れ筋となっている全高1,700mm台の軽ハイトワゴンは、後席がスライドドアになっています。
これら軽ハイトワゴンは、背の高さ故の居住性の高さはもちろんのこと、スライドドアの利便性の高さも人気の秘訣となっているようです。
そこでこの記事では、スライドドアのメリットとデメリットを紹介しながら、おすすめのスライドドアつき軽自動車を3車種紹介していきます。
目次
スライドドアのメリット・デメリット
引用:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/04_interior.htm
スライドドアは、上の画像のように小さな子供を抱きかかえている時、両手に大きな荷物を持っている時などにとても便利ですが、メリットだけではなくデメリットもあります。
そこでまず最初に、スライドドアのメリット・デメリットを考えてみたいと思います。
スライドドアのメリットとして考えられるのは、以下の4つです。
- 【〇】ドアが邪魔にならない上に開口部が大きいので乗り降りしやすい
- 【〇】子供や荷物を抱えていてもワンタッチで開閉可能
- 【〇】運転席のスイッチやキーレスエントリーシステムのボタン1つで開閉可能
- 【〇】狭い場所でも隣の車や壁にドアをぶつけずに開閉可能
- 【〇】チャイルドシートの脱着がしやすい
最大のメリットは、ヒンジ式ドアに比べると乗降時にドアが邪魔にならない上、開口部が大きく開くので、乗り降りがしやすいということです。
これは普通の人でも十分に恩恵を感じることができますが、お年寄りや体の不自由な人には非常に大きなメリットだと思います。
次に、ワンタッチでドアが開閉可能だということです。ただしこれは電動スライドドアの場合です。
電動スライドドアの場合、ドアハンドルを引くだけでドアが開閉できます。また、運転席のスイッチやキーレスエントリーシステムについているボタンを押すことでも開閉できます。
手動スライドドアの場合、ドアハンドルを引くとドアが開放されますが、そこからドアを引く作業は自分の力で行わなければなりません。
開ける時は、仮に両手がふさがっていたとしても、ドアが開放されさえすれば足や肩など体の一部を入れて力を込めればドアをスライドさせることができます。
従って「ヒンジ式ドアに比べれば開けやすい」という優位性はやはりあると思います。
そしてヒンジ式ドアに比べると、ドアを開ける時に車外に必要なスペースが小さくて済むので、開けた時に隣の車や壁にドアをぶつけることがありません。隣の車との距離が近い駐車場などでも、乗り降りがしやすいです。
最後に、チャイルドシートを脱着する際に、ヒンジ式ドアだと自分の後ろでドアがパタパタするので作業の邪魔になりますが、スライドドアだとそのようなことがありません。
次にスライドドアのデメリット4つです。
- 【×】(電動スライドドアは)開閉に時間を要する
- 【×】(手動スライドドアは)下り坂だと開けにくく、上り坂だと閉めにくい
- 【×】車両重量が重くなるので燃費に悪影響を与える
- 【×】故障時の修理代が高い
電動スライドドアは、挟み込み事故を防止する意味でもドアの開閉がゆっくりです。急いでいる時には多少もどかしさを感じることもあります。
そして手動スライドドアは、坂道停車(駐車)時に、下り坂では開ける時、上り坂では閉める時、つまり重力の方向と逆のドア操作をする場合にドアが非常に重く開けにくくなります。
逆に下り坂では閉める時、上り坂では開ける時に、ドアが勢いよく動いてしまうので注意が必要です。
さらに、電動スライドドアは機構的に複雑になるので、車両重量がやや重くなります。重くなるということは燃費が悪くなるということです。致命的なほどではありませんが、燃費にこだわる人は気になるかもしれません。
最後に、同じ理由で万が一故障した時には修理代が高額になりがちです。中古車で購入する時には電動スライドドアの動作は必ず確認するようにし、少しでも怪しい場合は避けた方が無難です。
2019年おすすめのスライドドアつき軽自動車3選
それでは次に、現在販売されている軽自動車の中から、おすすめのスライドドアつき軽自動車を3車種紹介したいと思います。
スライドドアがついている軽自動車は、すべて軽ワゴンタイプのものになります。
軽ワゴンは全長1,600mm台の軽トールワゴン、全長1,700mm台の軽ハイトワゴン、全長1,800mm台の軽スーパーハイトワゴンの3種類に大別されますが、スライドドアがついているのは原則として軽ハイトワゴン以上のものです。
ただし軽トールワゴンでも、例外的にダイハツムーヴだけはスライドドアがついています。
【2019年おすすめのスライドドアつき軽自動車・その1】ダイハツタント/タントカスタム
引用:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/index.htm
2019年おすすめのスライドドアつき軽自動車、1車種目はダイハツタント/タントカスタムです。
タントをおすすめする最大の理由は、「ミラクルオープンドア」によってスライドドアのメリットである「開口部が大きい」という点が最大化されることです。
引用:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/04_interior.htm
タントの左側のドアはドアにBピラーが内蔵されているので、他の車にはあるBピラーが存在しません。
そのため助手席ドアとその後ろの後席スライドドアを開けると、最大で1,490mmもの大開口部が出現します。
ピラーがないおかげで、後席からの乗り降りが非常にしやすくなります。お年寄りや体の不自由な人でも乗り降りしやすいというのがスライドドアのメリットの1つでしたが、ミラクルオープンドアはより乗り降りがしやすいです。
チャイルドシートの脱着がしやすいというのもメリットでしたが、ミラクルオープンドアはもっと脱着がしやすくなります。メリットの最大化とはそういう意味です。
また、助手席が最大で380mmスライドするので、目一杯前にスライドさせれば後席の足元に大きなスペースが出現します。重たい荷物や子供用の自転車はここに載せることができますし、ベビーカーも折りたたまずにそのまま載せることができます。
現行型タントは、助手席だけではなく何と運転席もスライドするようになりました。
引用:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/04_interior.htm
これは「運転席ロングスライドシート」という世界初の機構で、最大540mmスライドします。
そのため、運転席から後席へ、一旦車外へ出ることなくアクセスが可能です。
逆に後席から車内に乗り込んで、そのまま運転席へ移動することもできます。
これは後席のチャイルドシートに子供を乗せる時はとても便利でしょう。
スライドドアとは直接関係ありませんが、タントの売りとしては無視できません。
スライドドアの機能としては、車に近づくだけでドアが自動で開く「パワースライドドア ウェルカムオープン機能」と、ドアロックまでの待ち時間を解消する「パワースライドドア タッチ&ゴーロック機能」の3つが、現行型から軽自動車初の機能として搭載されました。
この中で注目は「パワースライドドア ウェルカムオープン機能」です。
引用:https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/04_interior.htm
これは降車時にスイッチを押して予約をしておけば、買い物などに行って帰ってきた時に、電子カードキーを持って車に近づくだけでスライドドアが自動的に解錠して開く、というものです。
もはやボタン操作すら不要ということです。
なお、タントで標準装備で両側電動スライドドアになるのはカスタムRSとカスタムXのみで、XターボとXは左側のみ電動で、右側はオプションで電動にすることができます。
L、カスタムLは手動スライドドアです。
【2019年おすすめのスライドドアつき軽自動車・その2】ホンダN-BOX/N-BOXカスタム
引用:https://www.webcg.net/articles/gallery/37191
2019年おすすめのスライドドアつき軽自動車、2車種目はホンダN-BOX/N-BOXカスタムです。
N-BOXは2019年最も売れた新車で、これは3年連続のこととなります。軽自動車に限っていえば5年連続です。
N-BOXはタントのミラクルオープンドアのように、突出した「何か」があるというよりも、乗り心地や走りの質、装備やスタイルなど、全体的なトータルバランスが高いのが売れている理由だと思います。
また、軽自動車や小型車をメインで作っているスズキやダイハツに比べて、フルラインナップを揃えるメーカーであり、F1などモータースポーツのイメージも強いホンダのブランドイメージの方が高い、というのも影響しているでしょう。
N-BOXはすべてのグレードに先進安全装備のHonda SENSINGを搭載していますので、安全にこだわる人にはおすすめです。しかもN-BOXに搭載されているHonda SENSINGは上位車種と比べても遜色のないもので、以前に比べると差は縮まっているとはいえ、他の軽自動車よりも優れています。
引用:https://www.honda.co.jp/Nbox/webcatalog/performance/active-safety/
特に前方監視に、単眼カメラに加えてミリ波レーダーを採用しているのが大きいです(他車の多くは機能的に劣るレーザーレーダー)。
ただ、車両本体価格が他車に比べると10万円~20万円高いことは頭に入れておく必要があります。
引用:https://www.webcg.net/articles/gallery/37191
そしてN-BOXは後席が非常に快適です。
N-BOXは「センタータンクレイアウト」を採用しており、普通は後席後方にあるガソリンタンクが前席下部に設置されています。
そのため後席周りのスペースに余裕が生まれ、後席足元空間がとても広く、足元の窮屈さを感じることがあります。
その上シートの位置が低いので、頭上空間にも余裕があります。
引用:https://www.webcg.net/articles/gallery/37191
後席の座面が肉厚なので、座り心地が良い点も見逃せません。
N-BOXは足回りのセッティングが絶妙で、乗り心地もとても良いです。後席に人を乗せる機会が多い人には特におすすめします。
また、スライドドアという点では、N-BOXはオプションで「ハンズフリースライドドア」を装備することができます。
引用:https://www.honda.co.jp/Nbox/webcatalog/interior/easy-to-use/
これはドアの下に足を差し入れることによってセンサーが感知し、スライドドアが自動開閉するというものです。軽自動車ではN-BOXにしか用意されていません。
N-BOXのスライドドアは、ベンチシート仕様の最廉価グレードであるGと、スロープ仕様の最廉価グレードであるGスロープが左右共に手動スライドドアとなり、電動スライドドアはオプションでも装備できません。
そしてベンチシート仕様の下から2番目のグレードのL、スーパースライドシート仕様の最廉価グレードであるEX、スロープ仕様の下から2番目のグレードであるLの3つが左側のみ電動スライドドアが標準装備、右側は手動スライドドアとなります。ただし右側はオプションで電動スライドドアにすることができます。
それ以外のグレードはすべて左右共に電動スライドドアが標準装備となります。
【2019年おすすめのスライドドアつき軽自動車・その3】スズキスペーシア/スペーシアカスタム/スペーシアギア
引用:https://autoc-one.jp/suzuki/spacia/report-5001230/photo/
2019年おすすめのスライドドアつき軽自動車、3車種目はスズキスペーシア/スペーシアカスタム/スペーシアギアです。
スズキの軽ワゴンというとワゴンRのイメージが強いかもしれませんが、ワゴンRは全長1,600mm台の軽トールワゴン、スペーシアは全長1,700mm台の軽ハイトワゴンです。
そしてスペーシアはスライドドアですが、ワゴンRはヒンジ式ドアになります。
なお、スペーシアギアはスペーシアをベースにSUVテイストをのせたものです。
引用:https://www.webcg.net/articles/gallery/40063
スペーシアの電動スライドドアにも「パワースライドドア予約ロック機能」が用意されています。
引用:https://www.suzuki.co.jp/car/spacia/comfort/
これはタントの「パワースライドドア タッチ&ゴーロック機能」と似たようなものですが、タントはドアハンドルのセンサーにタッチすることでドアを閉める予約するのに対して、スペーシアは携帯リモコンでドアロックを予約します。
どちらが便利かはドアを閉める時の動作によるでしょう。ドアハンドルを引いて閉める場合はタントの方が便利ですし、携帯リモコンでドアを閉める場合はスペーシアの方が便利です。
その他、スライドドアと関係ないところでは「スリムサーキュレーター」という装備が非常に素晴らしいです。
引用:https://kakakumag.com/car/?id=11531
これは微量の高速気流を後ろへ吹き出すことで、前席から後席への空気の流れを作るものです。
空気にのってエアコンからの冷気や暖気が後席へ流れるようになるので、車内の温度が均一化されます。
引用:https://www.suzuki.co.jp/car/spacia/comfort/
そのため「前席のみ涼しい(暖かい)、後席は暑い(寒い)」ということがなくなります。
スペーシアは上位グレードのHYBRID Xで左右の電動スライドドアが標準装備されます。下位グレードのHYBRID Gは左右どちらも手動スライドドアとなっており、電動スライドドアはオプションでも装備することができません。