2016年の新型レガシィ・アウトバックは試乗レポートが数多く寄せられています。
こちらでは2016年の新型レガシィ・アウトバックの試乗に関するデータをまとめましたのでご紹介します。
レガシィ・アウトバックと言えば、その走りに最も貢献しているのは、ボクサーエンジンとそれを生かしたシンメトリカルAWDでしょう。
ボクサーエンジンとは何か、シンメトリカルの効能など、その実力をのぞいてみます。
スバル・レガシィ・アウトバック
引用:http://www.subaru.jp/legacy/outback/design/exterior.html
ボクサーエンジン
何よりもボクサー・エンジンは重いエンジンブロックが左右に180度開いて倒れており、重心が低くできます。
通常シリンダーブロックは鉄の鋳造で作られていますが、アルミなどを使って軽量化する試みもあります。
シリンダーヘッドは各車アルミで作ることが大多数となってきています。
これも、少しでも高い位置にある重いものを軽量化する試みですが、水平対向型は基本的に優れた形式です。
引用:http://www.subaru.jp/about/technology/spirit/driving/boxer03.html
ボクサー(水平対向)エンジン カットモデル
引用:http://www.subaru.jp/about/technology/spirit/driving/boxer04.html
シリンダーが水平に対向しているので、左右同時に爆発が起きるシリンダーがあり振動を吸収できる。
そのためバランサーを必要とせず、軽量、小型化ができています。
直列、V型配置では、爆発でクランクシャフトにかかる力が一方向からですので、バランスが取れません。
そこでシリンダーと反対側に重りがつけられていて、回転をスムーズにしています。
クランクシャフトも鉄の塊ですので、これをなくすことで軽量化が進みます。
重いエンジンブロックを左右180度開いているため、車両全体としてもかなり重心を低くする効果が望めます。
引用:http://www.subaru.jp/about/technology/spirit/driving/boxer03.html
低重心の効果はコーナリング性能に大きく表れますが、それだけでなく揺れの少なさに寄与して乗り心地に影響します。
これはSUVの車両としては非常に優れラフロードの走破性に寄与します。
ユーザーが実感できるのは大きく揺れるラフロードではなく、むしろ意外にも高速巡行の時でありましょう。
シンメトリカルAWD
引用:http://www.subaru.jp/legacy/outback/driving/driving.html
アウトバック・シンメトリカル・シャーシ
引用:http://www.subaru.jp/legacy/outback/driving/performance.html
ボクサーエンジン型式としたため、左右均一なエンジンやシャーシを造り上げることが出来ました。
左右対称なレイアウトなので、重量の偏重を起こさないように積めば無用な挙動を起こさず、コーナリング性能に貢献いたします。
トランスファー「センターデフ」
引用:http://www.subaru.jp/about/technology/spirit/driving/sawd06.html
4輪駆動では前輪と後輪に動力を配分する仕組みが必要です。
それぞれのタイヤにかかる負荷は順次変わっていくので、最適な配分をする必要があります。
そのかなめになるギアがセンターデフです。
このエンジン駆動力を4輪別々に電子制御して、最適なトルク配分をすることがAWDです。
X-DRIVEと呼ぶメーカもあります。
リニアトロニック、つまりCVT無段変速ミッション
引用:http://www.subaru.jp/legacy/outback/driving/driving.html
スバルはCVTを1987年に世に送り出しており、先駆けとなったメーカーです。
新時代になり、これまでにあるシフト感覚を取り入れたロックアップ機構を取り入れ、違和感のないフィーリングを作り出しました。
CVTはどうしても立ち上がり、アクセルワークに対して回転の上りが遅れているように感じます。
それがエンジンのもっとも効率の良い回転数を使っていることなのですが、運転者の違和感となって不評をかっています。
パドルシフトでロックできるので、これまでの運転感覚のままにスポーツ走行も可能です。
CVTのチェーン
引用:http://www.subaru.jp/about/technology/spirit/ecology/environment03.html
このチェーンだけでエンジンの動力がタイヤ側に伝えられていくのですが、これだけでSUVの条件で10万km以上耐久性があるのかと感心します。
プーリーと組み合わされるのですが、スリップしないのが不思議なくらいです。
日産は、この技術開発でルノーに目を付けられたと言われています。
詳しい説明がありますので、スバルのHPに行ってみてください。
静粛性
エンジンマウント
引用:http://www.subaru.jp/about/technology/spirit/driving/chassis03.html
乗り心地では静粛性が求められるのですが、エンジンの振動はエンジンマウントのブッシュで決まるともいえるのです。
ボクサー型のエンジンレイアウトを採用し、部品の加工精度を上げて、回転部品の中心を正確に出したり、重量バランスをとったりして元々の振動発生を抑えても、爆発回転する振動は発生します。
そこで、振動吸収のブッシュを介してエンジンをマウントするのです。防振ゴムです。
この振動が抑えられると、エンジン回転そのものがスムーズになった感覚になります。
これに、室内とエンジンルームを遮蔽する壁にある各種の穴を丁寧に塞ぐことで、かなり静粛になります。
中古車の場合、防音材の劣化が見られますので、手入れすると静粛性が蘇ります。
サスペンション
引用:http://www.subaru.jp/about/technology/spirit/driving/chassis02.html
リアサスペンションは、ボディーへ直接取り付けずにサブフレームを介しています。
これはブッシュの働きと共に小さな突き上げを吸収する目的で、ダンパーの効きを強くするほど起こる、低速域での路面からの小さな突き上げを抑えているのです。
最近、世界のメーカーは低速域で乗り心地を改善し、高速でも安定するサスペンションを開発しています。
BMWのMシリーズでも、街乗りでの乗り心地の改良が進んでいます。
それはダンパーの初動入力を受け入れるようにして、大きな動きには抵抗するようなセッティングが進んでいるようで、さらには低速時の細かい振動をブッシュで吸収する考え方のようです。
ドライビング
レガシィー・アウトバック
引用:http://www.subaru.jp/legacy/outback/gallery/photo.html
レガシィ・アウトバックを外から眺めると、大柄な車体で迫力を感じるのだけれども、意外にバランスが取れてスマートに見えるとの評判です。
ドアを開け乗り込もうとするとき大きさに気付くのですが、着座位置が意外に高いことにも気づきます。
セダンから乗り換えると、5cm程度の違いながらかなりの差を感じます。
着座位置の低いジャガーから乗り換えると、ゆったりできないような感覚になります。
外観がセダンに近いのに着座位置はSUVのそれであるからでしょう。
レガシィ・アウトバック
引用:http://www.subaru.jp/legacy/outback/gallery/photo.html
ダッシュボードについてはスバルは色気がないようで、あまり褒められたものではありません。
これが良いという人も多いのですが、もう少々デザインしてほしいものです。
街中での乗り味に関しては突き上げ感を予想して乗るとソフトに感じます。
エンジン性能で不満を聞かないのですが、ターボディーゼルやハイブリッドに乗ってしまうと、従来のガソリン車の低速トルクは不足を感じます。
最近では、発進時に大変おとなしくアクセルを踏む人が増え、期待感がないので不満を聞かないのですが、比較すればやはり改良を望みたくなります。
馬力当たり重量・トルク当たり重量
この主要諸元でマツダ・アテンザワゴンXDを見ると、馬力当たり重量ではレガシィ・アウトバックと同等なのですが、トルク当たり重量では倍近い違いがあります。
しかも、発生回転数が2,000回転とレガシィの半分で、これでは低速域での力が違いすぎます。
SUVとしてのラフロードの走破能力はマツダ・アテンザワゴンXDが有利です。
同じマツダのCX-5ガソリンエンジンでも同じことがいえるので、SUVにはターボディーゼルの必要性があるようです。
高速巡行能力
引用:http://www.subaru.jp/legacy/outback/gallery/photo.html
高速道路に流入するときは、馬力当たり重量で9kg程度になっていれば不足はありません。
高回転域の伸びについては褒められるエンジンではありませんが、その必要性を感じる車種でもありません。
高速道路100km巡行に入って2,000回転近辺ですので、エンジン音も気にならず至極快適です。
吹き上がり戻しの早いエンジンではないのですが、挙動にマッチしておりきわめて快適です。
箱根の山を越える東名高速で少しスピードを上げて、コーナーでアクセルを緩めず侵入していったところ、これはびっくり、その切れ味、ボディーの挙動は実に素直でセダンと変わらない。
いやBMWといい勝負の切れ味を示します。のちにタイヤのチョイスで特性を変えられるのに気付くのですが、スバル・レガシィ・アウトバックで最も素敵な部分が、高速ワインディング・ロードを飛ばすことでした。
御殿場から逆に箱根の山に入り、芦ノ湖スカイラインを目いっぱい飛ばしてみました。
直線の最高速は東名で160kmぐらいが限界のセッティングであると感じたのですが、山坂道でのカーブに強いのは何事でしょう。
タイヤが鳴り始めるぐらいのところでの素直なハンドリングは絶品です。
スバルの技術者は、SUVで何を遊んでしているのであろうかと思うくらいです。
アウトバックX-MODE
引用:http://www.subaru.jp/legacy/outback/driving/performance.html
AWDでX-MODEスイッチを入れて走ってみたのですが、マニュアル操作が激しくて介入しているのかは判然としませんでした。
運転支援装置も世界のトップを行くスバルですが、車の本質である走る楽しさを味合わせてくれるSUVとは恐れ入りました。
重心は確実に低いことが感じられました。
背の高いミニバンなどにある横揺れを感じることもなく、セダンより5センチ高いSUVであることは完全に忘れ去ることができました。
エンジンを高回転型にしてターボ化するのもよし、ハイブリッドにして低速をモーターに任せるのもよいでしょう。
ボクサーエンジン・シンメトリカルAWDなど、基本形態の良さは十分ですが、エンジン特性の改善など、まだまだ磨き上げてほしいものです。
指名買いも多い新型レガシィアウトバックの値引きの方法については、
「新型レガシィアウトバック 値引き術!」で詳しく解説しています。
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