今や大人気のカテゴリーの1つとなったSUV。その定義は非常に曖昧であり、軟派なものから硬派なものまで硬軟様々取り混ぜて存在しています。
そんな中にあって一貫して「胸のすく走りの質」と「信頼性の高いAWD性能」にこだわり続けてSUVを作り続けているのがスバルです。
トヨタのようにフルラインを揃えている大メーカーではありませんが、こだわりのある車作りの姿勢が北米や欧州も含めた海外でも絶大な人気を集めています。
そこで今回はスバルのSUV全車種を取り上げて、それぞれ特徴を比較してみたいと思います。
今回ご紹介するのは「レガシィアウトバック」「フォレスター」「XV」「エクシーガクロスオーバー7」の4車種です。
目次
スバルのSUV全車種の特徴比較
引用:https://carview.yahoo.co.jp/article/testdrive/20170420-20103181-carview/photo/3/#contents
それではまず最初に、各車種の特徴を簡単にご紹介したいと思います。
レガシィアウトバック
引用:https://www.subaru.jp/legacy/outback/gallery/photo.html
レガシィは言うまでもなくスバルが1989年から今に至るまで販売している大人気車種です。
従来セダンとツーリングワゴンの2本立てでしたが、2014年に登場した6代目となる現行型からはセダンのみの販売となり、ツーリングワゴンはレヴォーグに継承される形になっています。
つまりレガシィアウトバックは今やレガシィファミリー唯一のワゴン、ということです。
レガシィアウトバックはレガシィツーリングワゴンの最低地上高をやや高くして、凹凸の激しい悪路でもお腹をこすることなく走ることができる、というのが大きな特徴でした。
これは広大な農場や牧場などの中を走ることの多い海外市場からの強い要望だったそうです。
元々5ナンバーサイズでスタートしたレガシィですが、今やトヨタのカムリやホンダのアコードなどと並んで海外市場を強く意識したゆったりとしたサイズ感のアッパーミドルサルーンとなっています。
それをクロスオーバーSUVにしたレガシィアウトバックは、他に直接的なライバル車種が見当たらない「ありそうでなさそう」な絶妙な地位を築き上げているといえます。
「乗り心地は高級セダン」「走れば本格的な悪路走破性を持つSUV」というわけです。
フォレスター
引用:https://www.subaru.jp/forester/forester/special/photo.html
フォレスターは1997年から販売されており、現行型は2012年に登場した4代目となります。
2代目までは車高も全高も低く「インプレッサのクロスオーバーSUVバージョン」のような比較的走りのイメージの強い味付けがなされていましたが、3代目からは車高も全高も高くなり、現行型のようなより「SUVらしい」デザインになっています。
とはいえSUVの平均よりは全高がやや低めです。重心が低いことも相俟って安定感のある走りには定評があります。
ボディサイズも手頃ですし、SUVであることを特に意識せずに普段使い出来る点が人気を集めていると思います。
XV
引用:https://www.subaru.jp/xv/xv/special/photo.html
今のスバルのラインナップの中では最も注目度が高いといっても過言ではないのがこのXVです。
XVはインプレッサの5ドアハッチバックをベースにクロスオーバーSUV化したもので、2010年に「インプレッサXV」という車名でデビューしました。
2012年にフルモデルチェンジした2代目から車名がXVとなり、現行型は2017年に登場した3代目となります。
スバルは2017年4月1日に社名をそれまでの「富士重工業」から「SUBARU」へ改めましたが、社名変更後初の新型車となったのが現行型XVでした。
新プラットフォームである「SUBARU GLOBAL PLATFORM」の導入で先代に比べて足回りの質が飛躍的に向上しているのも大きな特徴で、まさに新時代のスバルにふさわしい出来と言えるでしょう。
レガシィアウトバックでは大きすぎる、フォレスターよりももう少しオンロードでの走りを重視したい、という人にはピッタリです。
エクシーガクロスオーバー7
引用:https://www.subaru.jp/crossover7/crossover7/special/photo.html
スバル全車種の中で1、2を争う影の薄い存在がこのエクシーガクロスオーバー7だと思います。
エクシーガという車種自体は2008年にデビューしています。
他車種との差別化を図ろうとしたのでしょうが、スバルは当初ステーションワゴンともSUVとも名乗らず「多人数乗り車」などと称していました。
その後2012年の年次改良以降はキャッチコピーにミニバンと入れるなど迷走を続けていましたが、2015年に販売終了。直後にクロスオーバーSUVスタイルのエクシーガクロスオーバー7として再登場しました。
エクシーガ時代から一貫したコンセプトは「7シーターパノラマツーリング」というものです。
引用:https://www.subaru.jp/crossover7/crossover7/utility/7seater.html
ワゴン寄りのミニバン風スタイルの中に後列へ行くほど目線が高くなる3列シートを装備し、7人がゆったり乗れる居住性を確保している点が特徴になります。
これはエクシーガクロスオーバー7になっても変わっていません。
変わった点は170mmの最低地上高を確保して凹凸のある悪路でも走行出来るようにした点です。
ミニバンとワゴンのクロスオーバー的な位置付けですが「多人数乗りワゴン」が欲しい人にはエクシーガクロスオーバー7一択、といえるでしょう。
スバルのSUV全車種の性能比較
引用:http://jp.autoblog.com/2016/01/01/subaru-forester-satoshi-saito/
次にスバルのSUV各車種の性能や燃費をチェックしてみたいと思います。
まず始めに申し上げておきたいことがあります。
それは
・スバルのSUVには電気自動車もハイブリッド自動車もプラグインハイブリッド自動車もない
・駆動方式は全てAWDのみ
・・・ということです。
最近のユーザーは車の購入にあたっては燃費を最重視する人が多くなっていますが、燃費という点ではスバルのSUVは他社のSUVに比べて明らかに見劣りしてしまいます。
その代わり、と言ってはなんですが伝統のAWDは非常に信頼性が高く、いわゆる「なんちゃって4WD」とは違って本格的な豪雪地帯での使用にも十分耐えうるものです。
レガシィアウトバック
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
2.5L 水平対向4気筒 ガソリン車 | 175ps/5,800rpm | 14.6km/l |
レガシィアウトバックは2.5Lエンジン1本のみです。
フォレスター
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
2.0L 水平対向4気筒 ガソリン車 | 148ps/6,200rpm | 13.4~16.0km/l |
2.0L 水平対向4気筒 ガソリンターボ車 | 280ps/5,700rpm | 13.2km/l |
フォレスターは2.0XT EyeSightにのみターボエンジンが用意されますが、その他のグレードは全てNAです。
NAの燃費で13.4km/lとなっているのは唯一トランスミッションが6MTのみとなる2.0i-Lのものです。
その他のNAエンジン搭載グレードの燃費は全て16.0km/lとなります。
XV
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
1.6L 水平対向4気筒 ガソリン車 | 115ps/6,200rpm | 15.8~16.2km/l |
2.0L 水平対向4気筒 ガソリン車 | 154ps/6,000rpm | 16.0~16.4km/l |
XVは1.6Lと2.0Lの2本立てです。
注目していただきたいのが燃費です。1.6Lと2.0Lは排気量で0.4L、最高出力で39psの差があるにも関わらず燃費はほとんど変わりません。場合によっては1.6Lの方が悪いケースすらあります。
これは2.0Lエンジンの燃料噴射方式が直噴となっていることが大きな理由ですが、「排気量の小さい方が燃費が良いだろう」という先入観に惑わされないように注意が必要です。
エクシーガクロスオーバー7
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
2.5L 水平対向4気筒 ガソリン車 | 173ps/5,600rpm | 13.2km/l |
エクシーガクロスオーバー7は2.5Lエンジン1本のみです。
搭載されるエンジンはレガシィアウトバックに搭載されているものと同じFB25型エンジンですが、レガシィアウトバックに搭載されている方は2014年のフルモデルチェンジ時に部品の8割を新設計したFB25改良型となっています。
そのため最高出力も燃費もレガシィアウトバックの方が上ですし、実際に乗ってみて感じるエンジンフィールもレガシィアウトバックの方がより洗練されたものといえます。
スバルのSUV全車種の価格帯比較
引用:https://www.autocar.jp/firstdrives/2014/11/25/100952/
それでは最後にスバルのSUV各車種の価格帯を比較してみたいと思います。
レガシィアウトバック
3,207,600円~3,477,600円
フォレスター
2,419,200円~3,128,760円
XV
2,138,400円~2,678,400円
エクシーガクロスオーバー7
2,754,000円
スバルのSUVの価格帯はレガシィアウトバック以外のフォレスター、XV、エクシーガクロスオーバー7の3車種で見事に重複しています。
もし仮に予算が250万円~300万円程度だとすると、この3車種はどれも射程圏内ということになります。
3車種全てコンセプトが異なっていますが、フラットな状態から3車種を乗り比べてみて欲しい車を買う、という贅沢な選び方も夢ではありません。
スバルのSUV全車種の比較まとめ
引用:http://autoc-one.jp/subaru/exiga_crossover7/report-2194605/
以上、スバルのSUV全車種を特徴、性能、価格帯の面から比較してみました。
こうしてみるとスバルのSUVは車種は少ないながらも中々バラエティのあるラインナップであるといえると思います。
この中からあえて「おすすめの1台」を挙げるとすればXVです。
新プラットフォームを採用した2017年登場のモデルということで、あらゆる点での洗練度が勝っているというのが1番の理由です。
価格帯も200万円台前半から中盤程度となっており、比較的買いやすいです。
レガシィアウトバックは1,840mmという全幅が日本国内で乗るにはネックになってしまいます。
エクシーガクロスオーバー7は正直なところステーションワゴンとミニバンのどっちつかずなところがあります。
ステーションワゴンとしてならレヴォーグの方がスタイリッシュで使い勝手が良さそうですし、ミニバンとしてなら他社にいくらでも候補となる車種はあります。
フォレスターは登場から既に5年が経過しており、基本設計の古さがやや気になるところです。
しかしマニュアル車やターボ車など多彩なグレード展開があるのが魅力といえるでしょう。
以上の理由から一押しがXV、次点がフォレスターとさせていただきます。