コンパクトカーは低燃費な上に自動車税も安く維持費がかからないことや、車体が小柄なことで初心者や女性、お年寄りにも運転がしやすいことなどでいつの時代も高い人気を集めています。
特に近年は燃費性能、環境性能を重視する人が増えたこともあり、コンパクトカーの人気はかつてないほど高まっているといえます。
中でも人気の高いメーカーはやっぱりトヨタです。お家芸であるハイブリッドシステムをコンパクトカーにも続々と採用し、ユーザーの心を捉えて離しません。
そこで今回はそんな大人気のトヨタのコンパクトカー全車種を一気にご紹介したいと思います。
取り上げるのは「アクア」「ヴィッツ」「オーリス」「パッソ」「ポルテ/スペイド」「ルーミー/タンク」の8車種です。
目次
トヨタのコンパクトカー全車種の特徴比較
引用:http://www.webcg.net/articles/-/35913
それではまず始めに、トヨタのコンパクトカー全車種の特徴を簡単に比較してみたいと思います。
アクア
引用:https://trafficnews.jp/photo/74244/#photo11
2016年の乗用車ブランド通称名新車販売台数ランキングの1位はトヨタプリウスでしたが、2位はこのアクアです(ちなみに3位はシエンタ)
いかにトヨタのハイブリッドカーの人気が市場で高いかがよくわかるデータといえます。
アクアは2011年にデビューして以来既にモデルライフは6年目に入っていますが、その人気は一向に衰えるところを知りません。
2017年6月には2014年12月に続く2度目の大規模マイナーチェンジが行われ、エクステリアデザインが変更されました。
従来までのデザインの方向性は継承しつつもヘッドランプやエンジンフード、フロントフェンダー、フロントバンパー、リヤコンビネーションランプなどに変更が加えられています。
エンジンや足回りに変更はありませんが、ボディ剛性が強化された結果走りの質は向上しています。なおタイヤサイズが175/65R15から185/60R15にサイズアップしました。
また、SUVテイストのグレード「X-URBAN」が「Crossover」というグレード名に変更されています。
ヴィッツ
引用:https://www.autocar.jp/firstdrives/2017/02/10/205728/
ヴィッツはトヨタのコンパクトカーの代表的車種です。
かつてトヨタには1973年から1999年まで26年間販売されてきたスターレットというコンパクトカーがありました。
しかしグローバル市場で勝負出来るコンパクトな世界戦略車の必要に迫られ、スターレットと入れ替わる形でヴィッツが登場しました。
現行型は2010年にフルモデルチェンジされた3代目となりますが、2017年1月に2014年4月に続く2度目のマイナーチェンジが行われ、ついに日本市場にも待望のハイブリッド仕様が追加されました。
アクアは1.5Lのハイブリッド仕様のみですが、ヴィッツはガソリン仕様が1.0L、1.3L、ハイブリッド仕様が1.5Lと種類が豊富でユーザーが好みに合わせて選択出来る幅が広いのが特徴といえます。
オーリス
引用:http://autoc-one.jp/toyota/auris/report-2698508/photo/0017.html
オーリスは2006年にアレックスの後継車種としてデビューしました。
アレックスと聞いてもピンとこない人の方が多いと思いますが、アレックスは2001年に登場したカローラランクス(カローラの5ドアハッチバックモデル・カローラFXの後継車)の姉妹車種です。
カローラの姉妹車種、ということからもわかるように、アレックスの前身はスプリンター、ということになります。つまりスプリンター→アレックス→オーリスという流れです。
元々カローラのハッチバックモデルは欧州で人気が高く、オーリスも初代から欧州市場を強く意識した作りとなっていました。
2012年に登場した現行型となる2代目はその傾向が強くなり、排気量こそガソリン仕様が1.2L、1.5L、1.8L、ハイブリッド仕様が1.8Lとそれほど大きくありませんが、全幅は1,760mmとコンパクトカーと呼ぶには少々大きすぎるサイズとなっています(それでもトヨタの公式上の分類ではオーリスはあくまでもコンパクトカー)。
ちなみにこの1,760mmという全幅はVWのゴルフVと全く同じで、このことからもオーリスは欧州でゴルフVと対等に渡り合うべく作られているような車であることがわかります。
なお欧州では早くからハイブリッド仕様が販売されていましたが、日本市場に投入されたのは2016年4月です。
パッソ
引用:https://carview.yahoo.co.jp/article/testdrive/20160513-20102834-carview/photo/3/#contents
パッソは2004年に登場しました。現行型は2016年にフルモデルチェンジを受けた3代目となりますが、初代、2代目と3代目には大きな違いがあります。
それは初代と2代目は「商品企画、マーケティング=トヨタ」「設計、開発、生産=ダイハツ」となっており、いわばトヨタとダイハツの共同開発車でした。
トヨタからはパッソとして、ダイハツからはブーンとして販売されましたが、これはあくまでもOEM(相手先ブランド製造)ではなく、あくまでもそれぞれが独立した車種でメーカーを超えた兄弟車という位置付けです。
両車の車両形式には共通性もなく、製造事業者もパッソはトヨタ、ブーンはダイハツになります。
しかし3代目パッソは完全にブーンのOEMとなっています。つまり車両形式はパッソであってもダイハツのものがつけられており、製造事業者もダイハツになっています。
わかりやすくいえばトヨタとしてのアイデンティティーを示すものはエンブレムと車名のみ、ということです。
なおハイブリッド仕様は設定されていません。
ポルテ/スペイド
引用:http://www.webcg.net/articles/gallery/1968
引用:http://www.webcg.net/articles/gallery/1968
ポルテはラウムの後継車種として2004年に登場しました。2012年には現行型となる2代目へフルモデルチェンジされましたが、その際に姉妹車としてスペイドが追加されています。
つまりポルテは2代目、スペイドは初代、ということになります。
ポルテ/スペイドの特徴は見ての通りスライドドアやトールスタイルといったミニバン的な要素を兼ね備えるコンパクトカーである、ということです。これは後にご紹介するルーミー/タンクと同じで、これらの元祖的存在とも言うことが出来ます。
ポルテとスペイドの違いはデザインのみです。ポルテはフロントバンパー中央部が大きく口を開けたようなデザインとなっており、どちらかといえば女性向けのかわいらしいデザインといえます。
一方のスペイドは水平な直線ラインを基調とした男性的なデザインです。
どちらが良いかははっきりと好みが分かれるでしょう。
しかし内装デザインやグレード展開、グレード名、価格などその他の部分はほぼ全て共通です。
ルーミー/タンク
引用:http://www.webcg.net/articles/-/35587
引用:http://autoc-one.jp/news/3042262/
ルーミー/タンクは共に2016年11月にデビューしたトヨタのブランニューモデルです。
ダイハツのトールのOEM車となっており、企画から設計、開発、生産まで全てをダイハツが行っています。なおスバルのジャスティもトールのOEM車です。
ベースとなっているのは現行型のブーン(パッソ)で、搭載されるエンジンも同じです。ただしルーミー/タンクにはターボ車が用意されています。
ルーミー/タンクの開発コンセプトは「1LD-CAR」、つまり「広々としたリビング(LIVING)と余裕の走り(DRIVING)」を併せ持つ、という意味が込められています。
コンパクトカーとは思えないほど広大な室内空間はポルテ/スペイドを凌ぎます。
「ミニバンが欲しいけどちょっと手が届かない」「ミニバンのように多人数乗りである必要はないけど広い車が欲しい」という人にはぴったりだといえるでしょう。
ルーミー/タンクはポルテ/スペイド同様に異なるのはデザインのみで、それ以外は内装デザインやグレード展開、グレード名、価格などほぼ全てが共通です。
ルーミーのデザインテーマは「品格と艶やかさ」となっており、フロントの大型メッキグリルが特徴的です。これはアルファードやノアに通じるものがあります。
派手でゴージャスなイメージを好む人には向いていると思います。
タンクは「ダイナミックさとアグレッシブさ」がデザインテーマとなっており、ルーミーに比べると光モノのパーツが控えめで精悍かつスポーティなイメージがあります。これはヴェルファイアやヴォクシーに似ています。
派手さよりシンプルさを好む人にはタンクの方がよいかもしれません。
トヨタのコンパクトカー全車種の性能比較
引用:http://toyota.jp/auris/gallery/
次にトヨタのコンパクトカー各車種の性能、燃費を比較してみたいと思います。
なお、ハイブリッド車の最高出力は「エンジン最高出力」「モーター最高出力」「システム最高出力」の3つを記載しています(システム最高出力のが公表されていないものは非公表と表示)。
アクア
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
1.5L 直列4気筒 ハイブリッド車 | 74ps/4,800rpm(エンジン) | 34.4~38.0km/l |
61ps(モーター) | ||
100ps(システム最高出力) |
アクアは1.5Lエンジンのハイブリッド仕様1本です。
燃費はさすがのリッター30km超えで、最も燃費のよいグレードでは38.0km/lとリッター40kmに迫る勢いです。
ヴィッツ
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
1.0L 直列3気筒 ガソリン車 | 69ps/6,000rpm | 21.6~24.0km/l |
1.3L 直列4気筒 ガソリン車 | 99ps(95ps)/6,000rpm※ | 25.0(18)km/l |
1.5L 直列4気筒 ハイブリッド車 | 74ps/4,800rpm(エンジン) | 34.4km/l |
61ps(モーター) | ||
100ps(システム最高出力) |
※カッコ内は4WD
ヴィッツはガソリン仕様が1.0Lと1.3L、ハイブリッド仕様が1.5Lとなります。
なお、ハイブリッド仕様のハイブリッドシステムはアクアと同じものです。
オーリス
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
1.2L 直列4気筒 ガソリンターボ車 | 116ps/5,200~5,6rpm | 19.4km/l |
1.5L 直列4気筒 ガソリン車 | 108ps(105ps)/6,000rpm※ | 16.4~18.2km/l |
1.8L 直列4気筒 ガソリン車 | 144ps(143ps)/6,200rpm※ | 14.4~16.2km/l |
1.8L 直列4気筒 ハイブリッド車 | 99ps/5,200rpm(エンジン) | 30.4km/l |
82ps(モーター) | ||
136ps(システム最高出力) |
※カッコ内は4WD
オーリスはガソリン仕様が1.2L、1.5L、1.8L、ハイブリッド仕様が1.8L、しかもガソリン仕様は1.2Lモデルにターボが用意されているなど非常に多岐に渡ります。
1.2Lターボはいわゆるダウンサイジングターボで、意外にも燃費がよい点も注目に値します。
パッソ
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
1.0L 直列3気筒 ガソリン車 | 69ps/6,000rpm | 24.4~28.0km/l |
パッソは1.0Lエンジン1本です。燃費の24.4km/lというのは4WDのものです。
ポルテ/スペイド
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
1.5L 直列4気筒 ガソリン車 | 109ps(103ps)/6,000rpm※ | 16.0~22.2km/l |
※カッコ内は4WD
ポルテ/スペイドにはそれぞれ4つずつのグレードがあり、全てに4WDの設定がありますが、搭載されるエンジンは1.5Lエンジン1つです。
なお燃費の16.0km/lというのは4WDのものです。
ルーミー/タンク
エンジン種別 | 最高出力 | 燃費 |
1.0L 直列3気筒 ガソリン車 | 69ps/6,000rpm | 22.0~24.6km/l |
1.0L 直列3気筒 ガソリンターボ車 | 98ps/6,000rpm | 21.8km/l |
ルーミー/タンクは1.0LエンジンでNAとターボに分かれます。
NAに比べてターボの方が最高出力で29ps上回っていますが、これは1.0Lという小排気量車にとっては決して小さくない差です。余裕のある走りを望む人は迷わずターボを選ぶべきでしょう。
ターボと聞くと燃費が悪そうな印象もあるかと思いますが、ご覧いただいてわかるように燃費差ないので気にする必要はないと思います。
トヨタのコンパクトカー全車種の価格帯を比較
引用:http://www.webcg.net/articles/-/35822
それでは最後にトヨタのコンパクトカー各車種の価格帯を比較してみたいと思います。
アクア
1,785,420円~2,089,800円
ヴィッツ
ガソリン仕様:1,181,520円~1,952,640円
ハイブリッド仕様:1,819,800円~2,237,760円
オーリス
ガソリン仕様:1,789,855円~2,590,037円
ハイブリッド仕様:2,620,473円~2,832,545円
パッソ
1,150,200円~1,830,600円
ポルテ/スペイド
1,777,680円~2,077,920円
ルーミー/タンク
1,463,400円~2,008,800円
コンパクトカーということもあって多くの車種が高くても200万円プラスアルファとなっています。
例外的に高いのがヴィッツとオーリスのハイブリッド仕様です。
オーリスは元々コンパクトカーに分類するのがやや苦しい車格なので致し方ないところですが、ヴィッツはアクアと比較するとその割高さが目立ちます。
逆に言えばアクアのお買い得度が高い、ということも言えるでしょう。
トヨタのコンパクトカー全車種の比較まとめ
引用:http://toyota.jp/aqua/exterior/?padid=ag341_from_aqua_navi_exterior
以上、トヨタのコンパクトカー全車種を特徴、燃費、性能、価格などの面から比較してみました。
トヨタのコンパクトカーは全部で8車種あるわけですが、兄弟車やエンジン、プラットフォームを共有している車種もあるので、実質的な選択肢はもう少し少なくなります。
とは言え同一メーカーでこれだけ豊富なラインナップの中から選べるのはトヨタならではのことです。
筆者が個人的に考えるおすすめの1台はアクアです。
このクラスを買うということはやはり経済性が何よりも最優先されるかと思いますが、アクアは燃費の良さもさることながらアクア自体のコストパフォーマンスの高さも魅力の1つです。
これだけの低燃費性能を誇る車が200万円を切る値段で買えてしまうのはお買い得の一語につきます。
もちろん本来のコンパクトカーらしいコンパクトなボディサイズも魅力の1つです。
「ハイブリッドじゃなくてもいいからもう少し安いものを」ということであればヴィッツの1.3F(2WD)あたりもおすすめです。
価格は150万円を切っていますし、元々ヴィッツは熟成が進んでいるモデルで完成度が高いため大きな不満なく乗ることが出来るはずです。
パッソも悪くありませんが、パッソは正直なところ「ダイハツ車がトヨタのエンブレムをつけている」という状態なので、その辺りを気にする人は気にすると思います(この点はルーミー/タンクも同じです)。
一説には内装の細かい部分の仕上げなどがいわゆる「ダイハツクオリティ」であるというネガティブな意見もたまに聞かれますが、これはあくまでも噂レベルと捉えていいと思います。
居住性重視ということであればルーミー/タンクということになると思いますが、ルーミー/タンクの登場でポルテ/スペイドの存在価値が見出しにくくなっている点が気になります。
後発のブランニューモデルというだけでもルーミー/タンクの方に軍配が上がるでしょう。