新型オデッセイは試乗レポートが数多く寄せられています。
こちらでは新型オデッセイの試乗に関するデータをまとめましたのでご紹介します。
ホンダ・オデッセイはミニバンです。そこに求められる性能は大きく分けると『居住性』と『走行性能』です。さらに走行性能の中で操縦性能より、むしろいわゆる乗り心地が重要視されるクラスです。
そして2つの両項目は関連しています。多くの場合、室内の使い勝手を求めると走行性能に悪い影響が出ます。パワーシートなど豪華なシートを求めると重くなり燃費や走行性能にマイナスの影響が出ます。
そのためメーカーは装備品の部品や構造部材などを軽量で耐久性があり、小型で居住空間を侵食しない様に努力し続けています。
そこは日本人の得意な部分でアメリカ車は大きく差をつけられて日本車のシェアを伸ばす結果となりました。
目次
室内空間の拡大の操縦性能に対する影響
設計寸法を見る
これは具体的には後部スライドドア採用と相まって乗り降りのしやすさ、室内でのシート間の移動などにやりやすさを生んでいるようです。
車両全高に関して、先代より150mm高くなっていますが、それでもステップワゴンより130mm低く取れています。
これは低床設計に努力した結果ですが、車が本来持つ走行性能に対して良い結果をもたらしているはずです。しかし、初代オデッセイが市場で好評を得たのは、むしろデザインとして全高が低いことが評価されたのでしょう。
それは以下の記事で記しますが、走行性能に対して低重心が貢献している領域で、ほとんどのユーザーは走ったこともないはずです。
つまり低床設計をしなくてもユーザーが使っている走行領域では、ほとんど影響がないものと言えるのです。繰り返しますが、低床設計とは重心を下げる努力ですが、ユーザーの想定される日常使用においては、ほとんど影響されないと考えるべきです。
ホンダ・オデッセイ・低床設計
装備品の特徴
装備品で特徴的なのは、「走るラウンジ」とうたっている通り豪華なシートです。
ホンダ・オデッセイ・2列目プレミアムクレードルシート
VW・ゴルフ・トゥーラン 2列目シート
昔からベンツ・BMW・VWのシートは長距離でも疲れさせないシートでありながら、これと言って豪華さはありませんでした。人間工学的に良く考えられた形状、硬さでありむしろアメ車や日本車など豪華でありながら柔らかく、細かい揺れで長時間乗ると疲れを感じさせる作りで知られてきました。
とくにミニバンの車内はスペースに限りがあり、シートの厚さも削減する方が合理的です。それでも日本車が、このオデッセイの7人乗りオプションシートにこれほどの厚みを持たせ豪華に見せているのは、機能面からだけではないでしょう。
もっと室内スペースに配慮して薄い座面・背もたれでも機能的には優れたシートを造れるはずです。これは見た目の豪華さでV I Pを納得させているのでしょう。それも商品力ですので仕方ありません。でも軽量小型のより良いシートを開発が望まれます。
豪華さもある、ホンダの上級ミニバン、オデッセイ。
購入時には、他のライバルと比べて、しっかりと値引き交渉に臨みたいものです。
新型オデッセイの値引きの方法については、
ぜひ参考に、オデッセイを賢くお得に購入しましょう。
操縦性に対するマイナスの影響
ともあれ、室内での移動などかなり自由度が出てきたのが5代目オデッセイの特徴です。室内の静粛性と相まって、家族や友達など多人数での移動に関しては、間違いなく大きな進歩を遂げています。
荷室の確保
ホンダ・オデッセイ・8人乗り最大荷室
また3列目のシートと繋げてフラットな状態とすれば、車中泊も可能ですが、でこぼこがあり準備が必要です。
これらの装備品、多くの荷物は操縦性にとっては何れもマイナスの影響しか出ないのですが、ミニバンの使い道から考えれば、かなり優秀な仕掛けとなっています。
1つの問題
些細なことですが、どうやらシート付近からの小さな音が出やすいようです。このどこからともなく聞こえる小さな音は大変厄介な問題です。
ビスなどの緩みが考えられるので安全上気がかりになります。でもばらすにもどこであるのか特定が難しいのです。ミニバンのシートはスライド量を大きく取ってありますのでガタが出やすい構造であり、製造の上でも僅かな部品の接触などの不具合が出やすい個所です。
大きくスライドするレール自体、力が掛かる場所でもあり歪みが出やすく、後々になってスライドレールの特定部分で部品同士の僅かな接触を招きやすい場所でもあります。
メーカーには設計品質として追跡調査して対策をディーラに指示してほしいものです。お客様に取っては大変気になるものであり、ディーラの整備士、営業マンは、「ささいな音」として闇に葬るのではなく、こまめにメーカーにフィードバックして対策をうながしてもらいたいものです。
操縦性の問題
乗り心地
ミニバンとしての性能では、オデッセイの乗り心地に関心が集まるところでしょう。乗り心地とはいかなるものであるのか?操縦性とは異なる世界ではあるのでしょう。
ミニバンの性能としてはむしろ重要視されるべきところであり、さらにはその評価について、個人差が出やすい項目でもあります。
人によっては「オデッセイは乗り心地が悪い」と評価します。それはダンパーの効き具合の問題でありましょう。日常使用に関して不足があるわけがないのですが、細かい振動を拾わない方向でのセッティングは歓迎すべきです。
ホンダ・オデッセイ・シャーシ
それはオデッセイの主張なのでしょう。細かい突き上げを吸収するには、ダンパーのオイルの通り道を比較的大きく取る必要がありますが、同時にロールを許す方向になりますので、そのバランスでしょう。
減衰力に比べてばねを強くしますと揺れが収まるのが遅れて最悪の乗り心地となります。このセッティングが技術者の腕の見せ所でしょう。
ベンツはサスペンションのストロークが長いように感じさせますが、それはロールを許して収まりは早いようで、BMWはストロークが短いように感じさせますが、ロールを抑えているからです。
現在では、電子弁を利用してプログラムで制御する方式が当たり前なのでしょうか。広報されなくなりました。このダンパーを電子制御する考え方を始めたのは、トヨタ・ソアラです。
たしか2代目であったと思いますが、前輪が突き上げを拾った瞬間に後輪の減衰力を一瞬弱めて、突き上げ感をなくし乗り心地を良くするものでした。それを油圧弁などのメカニカルな対策でなく電子制御を用いたのは、大きな冒険でした。
現在ではどこまで制御されているのか、スキッドコントロール、アクセル、ハンドルなどのドライブ・バイ・ワイヤと共に、オーナーにもディーラ技術者にも分からないことでしょう。
オデッセイの場合2人乗りまでの軽過重で問題は感じられませんし、最大荷重で乗り心地を試すことはなかなか出来ませんが、なにも制御していなければ、軽過重では突き上げ感が多少出て、最大荷重付近では、ふわふわとした乗り心地が出るはずです。
極端に荷重を変えることができないので、この辺は不明です。
操作性
ハンドリング応答性
現代の車の共通の問題点であると考えますが、オーバースペックを求める傾向があります。その如実なところで、だれも問題視しないのですが、最大の問題は、タイヤチョイスであると感じています。
①215/60R16
②215/55R1
③225/45R18
の3つのタイプが、オデッセイでは設定されていますが、①②については、現代の市場の中では妥当であると感じます。
18インチ・タイヤ
「扁平率の低いものを好むのは、何故であるのか?」を良く考える時期であると思うのです。50%を切る扁平率を必要とするのは、操舵応答性を求めるからでありますが、60%と45%の違いはミニバンの世界では全く考慮する必要はないのではないでしょうか。
ホンダ・オデッセイに操縦性能を求める人もいるのでしょうが、それはごく少数のマニアのことです。
この違いで操作性の違いを感じる場面は、限界近い状態です。そもそもラジアルタイヤで225/45R18で限界が来たとすると、素人では一般道路で回避することはまず不可能です。このタイヤでは滑り出しを捉えることすら出来ないはずで、カウンターステアなどは出来ないで飛びだしてしまいます。
60%ぐらいにしておいてもほとんどの人は、限界を察知することもできないでしょう。ましてAWDでスキッドコントロールをしていては、その限界特性は計りしれず、限界を超えない運転が何より求められます。
現代の制御された車は、その限界の出方すら設計されています。
肝心のハンドリング応答性については、電動アシストが付くとドライブ・バイ・ワイヤと呼ばれるコンピュータ制御で、ほとんどの人が気づかないでしょうが、ダイレクト感は失われています。
例えば:アンダーステアが出るシャーシであったとしても、ハンドルを操作した時に、少しばかり舵角を多く制御するだけで応答性を素直に感じるようになります。このため実用域でのハンドリングについてレポートすることは無意味でありましょう。
アクセルワークに対してCVTの応答性が悪いとの印象を持つドライバーもいるようですが、CVT(無段変速機)との組み合わせでは、エンジン回転に対して理想的な変速を行ってくれますので、なにも考える必要はないはずです。
現在のほとんどの車ではドライブ・バイ・ワイヤでアクセル操作をしていますので、本当のところの加速感は分からないのです。大筋でアクセルを踏み始めたころは、アクセル開度は少なくなるように制御されているようです。
全ては設計者の狙い通りであると諦める必要があります。でもモード切り替えがありますのでほとんどの場合、不自由はないはずです。
ハイブリッド車に期待する
ワゴンタイプからミニバンの居住性を獲得した五代目オデッセイは、間違いなく居住性としても一級のミニバンであり、低床設計を諦めなかったことで走行性能も第一級のセダンとそん色ないと言えます。
これでハイブリットにモーターアシストを付けた動力性能であれば、実用域での性能に文句があるはずもなく、むしろ「走り屋」的な性能を要求することは、邪道でありましょう。
5代目オデッセイは、ミニバンとしての性能を存分に楽しむべき車でしょう。