2019年末現在、2000cc以上のステーションワゴンはスバルレガシィアウトバックと、マツダ6の2車種しかありません。
かつては2200ccのクリーンディーゼルターボエンジンを搭載するマツダアクセラスポーツがありましたが、マツダ3へフルモデルチェンジした際にガソリン仕様が1500ccと2000cc、クリーンディーゼル仕様は1800ccになったので、2000cc以上というカテゴリから外れてしまいました。
そこでこの記事では、2000cc以上のステーションワゴンとして双璧をなす、レガシィアウトバックとマツダ6の2車種を比較してランキング化してみたいと思います。
【2000cc以上のおすすめステーションワゴン・第2位】スバルレガシィアウトバック
引用:https://www.webcg.net/articles/gallery/38077#image-10
2019年おすすめの2000cc以上のステーションワゴン、第2位はスバルレガシィアウトバックです。
レガシィアウトバックは、レガシィシリーズの中では現在唯一国内で販売されている車種となります。
マツダ6との大きな違いは、最低地上高が200mmと高めにとられている点です。
そのため、路上のちょっとした凹凸や障害物がシャシーにぶつかることがなく、林道などのオフロードを走る機会が多い人におすすめといえます。
また、レガシィアウトバックはスバル伝統の水平対向エンジンとシンメトリカルAWDを搭載している点もポイントです。
水平対向エンジンの特徴は「低振動・低重心」という点にあります。
引用:https://www.subaru.jp/legacy/outback/driving/powerunit.html
まず低振動という点ですが、水平対向エンジンは内部の左右のピストンがお互いに水平方向に動くので、振動を打ち消し合うことができます。
低振動であるということは、乗員の快適性向上につながります。
次に低重心という点ですが、水平対向エンジンは前述のようにピストンが左右に動きます。通常のエンジンは縦もしくは斜めに動くのでどうしても縦方向の高さを伴うエンジン形状になりますが、水平対向エンジンは縦方向の高さが極端に低く、ぺちゃっとした平べったいエンジン形状になります。
そのため、重心を低くすることができます。
重心が低いということは、走行安定性の向上につながります。重心が高いとコーナーなどでふらつくことになりますが、重心が低いとコーナーにぴたっと吸い付くような走りをみせてくれます。
そしてシンメトリカルAWDは、水平対向エンジンを核に左右対称に機構が配置されるのが特徴です。
引用:https://www.subaru.jp/brand/technology/technology/driving_awd.html
左右対称に配置されるということは、左右の重量バランスが取れているということで、4輪すべてに等しく荷重がかかることにつながります。
4輪に等しく荷重がかかっていると、コーナリング時に接地感のバランスがよく、より安定してコーナーをクリアすることができます。もちろんオフロード走行時も接地感のバランスがとれていることから、高い走破性が期待できますし、スタックしても脱出が容易です。
これらを総合して平たく言えば、「トータルで走りの質が高い」ということになります。
ただ、ネックになってくるのが最低地上高の高さです。
ロードクリアランスを確保するための作りですが、車自体の重心がどうしても高くなってしまいます。そのためマツダ6と比べると、コーナリング時の安定性はやや劣ります。
ステーションワゴンとしての使い勝手に関してですが、荷室容量はマツダ6の506Lに対してレガシィアウトバックは559Lと1割以上大きいです。
引用:https://www.webcg.net/articles/gallery/31897
そのため、より多くの荷物を積みたいという人にはレガシィアウトバックの方がおすすめとなります。
これは荷室そのものの大きさもさることながら、荷室ボード下部にある47Lの大型サブトランクの存在が大きいです。
引用:https://www.webcg.net/articles/gallery/31897
サブトランクは荷室とボードで区切られている上、外から見えないので、汚れ物や貴重品を入れるのに大変適しています。
アウトドアレジャーに行くと、泥まみれになった靴や濡れた水着など、他の荷物とは分けてしまいたいものは意外に多いです。
また、登山などをする際に山の麓まで車で行き、登頂して下山するまでの間長時間駐車場に車を止めておくような場合があります。あまり人気もないような場所なので車上荒らしの被害が心配ですが、貴重品がある場合はサブトランクにしまっておけば車外の目を完全に避けることができますので、多少は安心して保管をしておくことができます。
室内空間という点ではレガシィアウトバックとマツダ6はほぼ同じですが、室内長と室内高はレガシィアウトバックの方が大きいです。
特に室内高はマツダ6が1170mmなのに対して、レガシィアウトバックは1240mmと70mmの差があります。室内高は室内空間の差を最も感じやすいので、体感的にもレガシィアウトバックの方が広さを感じると思います。
【2000cc以上のおすすめステーションワゴン・第1位】マツダ6
引用:https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17318614/album/16787550/image/16857482?fr=alim
2019年おすすめの2000cc以上のステーションワゴン、第1位はマツダ6です。
マツダ6もレガシィアウトバックも、海外市場を重視した大柄なボディのステーションワゴンという点では共通しています。
しかしレガシィアウトバックがオフロード走行というか、非舗装道路での走行を重視しているのに対して、マツダ6はオンロード走行、舗装道路での走行を重視し、オフロード走行はほとんど意識していない、という点において決定的に異なります。
日本は少なくともマツダ6やレガシィアウトバックが入っていける林道やオフロードは、比較的道路の整備がきちんと行われているので、マツダ6で走れないという場所はほとんどないはずです。
もちろんレガシィアウトバックの最低地上高の高さは安心につながりますが、管理されたキャンプ場へ出かける程度であればマツダ6でも十分対応できます。つまりレガシィアウトバックに対するマツダ6の最低地上高の低さは、それほどネガティブ要素にはなりません。
マツダ6は2019年8月のマイナーチェンジでそれまでのアテンザワゴンから車名を変更しました。そのアテンザワゴンは2012年に発売されていることから、2014年発売のレガシィアウトバックに比べて基本設計の古さを指摘されることがあります。
しかしアテンザ時代の2018年6月に、アテンザはフルモデルチェンジ並みの大幅マイナーチェンジを受けています。
エクステリアデザインこそ従来のイメージを踏襲していますが、インテリアデザインは質感も含めて大きく改良され、最新のマツダのアイデンティティを反映させたものになりました。
引用:https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17318614/album/16787550/image/16857484?fr=alim
エンジンはガソリン仕様は2.0Lモデル、2.5Lモデル共に最高出力と最大トルクがわずかに向上し、2.5Lモデルは新たに気筒休止システムが採用され、走行状況に応じてエンジンのいくつかの気筒を停止する、という機構になりました。
これは実燃費を向上させるための最新技術です。
引用:https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17318614/album/16787550/image/16857488?fr=alim
大きく変わったのはクリーンディーゼル仕様で、新たに「急速多段燃焼」を採用、最高出力と最大トルクが大幅に向上しました。これによってクリーンディーゼル特有の低速からもりもりと湧き上がるトルク感がさらに強調され、加速が非常に滑らかになりました。
引用:https://www.webcg.net/articles/gallery/39423#image-9
これらの改良のおかげで、基本設計の古さというアテンザのネガティブ要素は相当払拭されました。
その他、吸音材を追加して室内の静粛性の向上も図っていますし、足回りやパワステの設定など細かい点にまで手が入っています。
レガシィアウトバックはスバル特有の年次改良を毎年受けていますが、大きな改良は運転支援システム「アイサイト」の機能向上が中心で、エンジンや足回りの改良はあまり行っていません。
そのため、作りの新しさという点ではマツダ6がレガシィアウトバックに大きく勝っているといえます。
これがレガシィアウトバックが2位、マツダ6が1位、という順位をつけた理由です。
レガシィアウトバックとマツダ6の走りの質を比較すると、レガシィアウトバックはシンメトリカルAWDがもたらす安定感という点で優れ、マツダ6はエンジンや排気量によって異なるものの、キビキビとした元気の良い走りという点で優れているように思えます。
ワインディングでのハイペースな走りはマツダ6に軍配が上がります。レガシィアウトバックは、前述のようにやや腰高になるからです。
引用:https://autoc-one.jp/mazda/atenza/special-5002789/photo/
いずれにせよ、この2台の走行性能は甲乙をつけるのは非常に難しいです。そのため、この両車が気になっている場合は必ず試乗をした上で決めることを強くおすすめします。